GRで萌えてみる

「ジャイアントロボ」のBF団十傑集で妄想展開中。メインは成長したサニー(17歳設定)のラブストーリーとか10歳くらいの幽鬼のお話。拍手・コメント等いただけたら管理人喜びますw

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やさしい悪魔

「どうしたんだい?ずいぶんと渋い顔だね」
 任務の帰りだというくせに、上等の紅茶が届いたからとセルバンテスがカワラザキの部屋を訪れた。
「眩惑か…」
 紅茶を受け取ったときには一瞬相好を崩したが、また難しい顔になる。
「幽鬼が任務に出かけていて、ちと困っていたところだ」
「なるほど…お茶くらいなら私でも入れられるが、幽鬼くんでなければダメなことかね?私にできることなら力になるよ」
 カワラザキはセルバンテスを見たが、すぐに首を振った。
「いやいや。お前も任務から戻ったばかりで身を休ませたいだろう」
「水臭いよ。いつも世話になってるじいさまの頼みなら、どんな状態だって聞かせてもらうさ」

 数十分後、ふたりは奥深い山の中にいた。
「大丈夫か、セルバンテス」
「はぁ…これでも十傑の一員なんだが、自分の足でこの急勾配の山を登るってのは…ちと堪えるね」
 もとより人の入らない山なのだから、道がついているわけでもない。
 木の枝をかき分けかき分け登ってきたのだ。
 おまけにセルバンテスはクフィーヤを身につけている。
 それが枝に引っかかったりして、カワラザキひとりで登ってくるより時間がかかってしまった。
「山登りがしたいわけではないからな…急ぐ必要はない」
「で?じいさまの憂鬱というのは、どこだね?」
 少し先に大きな洞穴らしきものが見える…カワラザキは顎をしゃくった。
「あれだ」
 セルバンテスは自分の足元を見、それから脇に生えている樹木に触れた。
「…熊、だね」
「人や犬を怖がらなくなった…里へ下りてこようとする」
 この山を下りたところになにがあるのか…セルバンテスは知っている。
 カワラザキが隠す、あの女性との家がそこにあるのだ。
 反対の里へ下りるにはここから遠すぎるため、餌を求めた熊が下りていくとしたら彼女の家だろう。
 しかもここは人が住んでいる村からはずいぶん離れており、彼女と飼い犬が熊に襲われてもだれも気づく者はいない。
 よほど物好きなだれかが山へ来なければ、の話だが。



「なるほど…それで幽鬼くんに熊を説得してほしかったわけか」
「儂がいるときなら屠ることも追い返すこともできる。だが、あれ独りのときでは…」
 いつもそばにいられるわけではないから、幽鬼の能力で熊と交渉したかったらしい。
 すなわち、餌を用意してやってもいいから彼女の家には近づかないでほしい、と。
「だが幽鬼くんはいない、と…しかも下手にじいさまが手傷を負わせたら、それこそ手負いの獣だ。なにをするかわからんよ」
「実際、お前を連れてきたがどうしたものかと考えている…」
 セルバンテスは快活に笑って、カワラザキの肩を叩いた。
「私の力を忘れてもらっちゃ困るなぁ。要は熊が下りてこなければいいんだろう?」
「まあ、それはそうだ」
「では私の力で、この山から下りられないようにしてしまおう。どうやらここには熊以外にも、下りてきてもらっちゃ困るやつらが何種類かいるようだしね」
 そして意識を集中させ…しばらくしてからカワラザキを振り向いた。
「ふーむ?儂には違いがわからんが」
「ふふ、山の中にいれば安心だが、下りようとしたら恐怖を感じるように仕向けたよ」
 ようやくカワラザキも安心して、ふたりは山を下り始めた。
「でも…じいさまも優しいねえ」
「うん?」
「私にそんなことを頼んだのも、幽鬼くんに説得してほしかったのも、無駄な殺生をしたくなかったからでしょ?」
 カワラザキは答えずに先を進んでいく。
 ややあってからセルバンテスを振り向いた。
「お前も優しいやつだろう?自分には関係のないことだと放っておくことも、こんな山ひとつ燃やし尽くすこともできるくせに、そうしないのは」
「いやいやいや」
 セルバンテスは飛ぶようにして駆け下り、カワラザキの横に並ぶ。
「そんなことしたら幽鬼くんに私が怒られちゃうしね、そもそもじいさまの頼みだからこそ…」
 そうしてセルバンテスは目を細めた。
「幽鬼くんが優しいのはじいさまが優しいからなんだよね…ふふ、いい育て方だ」
「馬鹿を言え。子供のころの幽鬼とよく遊んでいたのはお前だろうが。お前の影響のほうが大きいわ」
 そんなことを話しながら里へ着いた。
 間近に、カワラザキと彼女の家がある。
「上がってお茶でも飲んでいくか?」
「いやいや、遠慮しておくよ。じいさまはあの女性(ひと)に話して、安心させてあげるといい。私は一足先に本部へ戻っているよ」
 背を向けたままで手を振り去っていく姿を見送って、カワラザキはぽつりとつぶやいた。
「まったく…悪いやつほど優しいもんだ」

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Author:まいりぃまいろ
ツイッターでフォロワーさんの描かれたウサヒツを見て書きました~。
レッドは絶対荒唐無稽な夢を見る。

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