GRで萌えてみる

「ジャイアントロボ」のBF団十傑集で妄想展開中。メインは成長したサニー(17歳設定)のラブストーリーとか10歳くらいの幽鬼のお話。拍手・コメント等いただけたら管理人喜びますw

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Fin

 イタリアの小さな町にあるカフェでは、恋する男女がテーブルをはさんで談笑の真っ最中。
 ただそのうちのひとつのテーブルでは、今夜のお楽しみもそっちのけのように神妙な顔の男女がいた。
 男は野暮ったいメガネをかけ、女は驚くほどの厚化粧だ。
 変装…と呼ぶには稚拙に思えるのは、いかにもというような風体にするより人の中に混じりやすいことが目的だからだろう。
 変装しなければならない理由、それはふたりが逃亡者だから。
 ふたりは声を潜めてなにやら話しながら、軽食を取り、食後のコーヒーを楽しんでごく普通にふるまっている。
 最初は迷った。
 組織から持ち出した金で、どこか山奥の小さな村へ隠れようか、それとも都会の雑踏に紛れようか…その結果としてなにかしらの保護を受けられそうな都会へ留まることにした。
 これといった情報を持っているわけではないが、逃げ出してすぐ連絡した国際警察機構はふたりを保護してくれると約束してくれたのだ。
 そしてその場所まではもう少し…持ち出せた金はわずかだったが、そこまでの交通費くらいはちゃんとある。
 無事に逃げおおせたら…ささやかな結婚式を挙げて、小さな家を持って、それから…そんな話をしているときだけ、逃亡中の恐怖を紛らせることができた。
「そろそろ、いこうか」
「ええ」
 ウェイターを呼んで代金とチップを支払い、カフェを去っていくふたりの気持ちは、空の晴れ間のように明るくなりつつあった。
 ふたりが座っていたテーブルの隣、そこにひとりで陣取り、コーヒーが冷めるのもかまわず新聞を読みふけっていた紳士は、おもむろに新聞を外すと丸レンズのサングラス越しにふたりの後姿を見つめる。
 やおら立ち上がり新聞を畳むと、その上に代金とチップを置き、山高帽とステッキを手に歩き始めた。



 駅への道を急ぎ、石畳の路地を抜けていくふたりの前に、老紳士が立ちはだかる。
「どこまで行くのかな?」
 優しげな笑みと穏やかな声音だが、その紳士がどれほど恐ろしい人間なのか…男はすぐにわかった。
 全身が硬直し、震えていく…しかしすぐに気を取り直し、金の入ったバッグを女に押しつけて叫んだ。
「逃げろ!」
 一瞬、女は躊躇したがかねてからの約束どおり…先に逃げ、必ず助けを連れて戻る…走り出す。
「なにが気に入らなかった?金もお前の知識欲も…そうそう、女も…すべて与えられていただろう?」
 ステッキを弄びながらそう言う紳士…カワラザキを男は黙って見つめた。
 ほんの少し…ほんの少しの隙さえあれば、男だってかつてはC級とはいえエージェントだったのだ…逃げることができるかもしれない。
「あぁ…自由、というやつか…お前が求めたのは。だが…我らを裏切って自由が得られるなど甘い考えだ…」
 動かなかった…カワラザキはその場からまったく動かなかったはずなのに…カワラザキの言葉が終わるか終らぬかのうちに、男は地面に這いつくばっていた。
 石畳の冷たさも、命を奪われた痛みも、なにも感じなかった…一瞬で仕留められたのだ。
「持ち出したのが金だけということで、最大の慈悲をくれてやったぞ」
 カワラザキは男の死体に歩み寄り、言い聞かせるようにその頭をステッキで二三度つついた。
 男の死体へかぶさるように、ゆらりと影が差す。
 顔を上げれば幽鬼が立っていた。
「仕留めたか」
「…ああ」
 男たちは対峙したら必ず二手に分かれる…そう読んで、女のほうを幽鬼に仕留めさせた。
 女が持っていたバッグをカワラザキに放り投げる。
「物取りの犯行としか思わんだろう。警察へ駆けこむつもりだったらしい」
「ふふ、あまり派手な立ち回りをするわけにはいかんからな。先回りで正解だった」
 金を少しだけ抜き取り、バッグを死体の脇に捨てると、もう男の死体には目もくれず、幽鬼と連れ立って歩き始める。
 カワラザキの後ろを歩いていた幽鬼が、ふと思い出したように口を開いた。
「なあ、じいさま。もしも俺が…」
 カワラザキは立ち止まり、振り向いて幽鬼の頬をステッキの持ち手で軽く叩いた。
「そんなことはあり得んし、あり得ん話をするのは無駄だぞ」
 幽鬼は…自分が続けようと思った言葉を飲み込む。
 もしも自分が組織を裏切ったとしたらどうする?…そう尋ねたかった。
「…なぜそう思うんだ」
「ふっふっふ。儂にはお前のような能力はないがお前の言わんとしていることはわかる…儂は、儂を信じているお前を信じているからな」
 幽鬼は一瞬あっけにとられ…やがて泣き笑いのような顔で笑った。
「さて、と。まだ陽は高いがそこらのパブで一杯ひっかけていくとするか。幽鬼、つきあえ」
 そうしてカワラザキはステッキを軽快に振り回し、鼻歌を歌いながらパブへの坂道を下っていった。

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Author:まいりぃまいろ
ツイッターでフォロワーさんの描かれたウサヒツを見て書きました~。
レッドは絶対荒唐無稽な夢を見る。

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