GRで萌えてみる

「ジャイアントロボ」のBF団十傑集で妄想展開中。メインは成長したサニー(17歳設定)のラブストーリーとか10歳くらいの幽鬼のお話。拍手・コメント等いただけたら管理人喜びますw

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I'm not editor

 アルベルトは深々と葉巻の煙を吐いた。
 その向こう、テーブルに置かれたフォトスタンドの扈三娘は微笑んでいる。
 少しはにかみながら微笑む姿はあの日のままなのに、彼女はただの薄っぺらな一枚の写真なのだと思うと、アルベルトの胸を奇妙な思いが錯綜した。

 キッチンからなにやら美味そうな匂いが漂ってくる。
 ベッドの中でそれに鼻腔をくすぐられて目覚めたアルベルトは、ここが居城ではなく任務のために間借りしたアパートメントの一室だと思いだした。
「私にはそんな生活できそうにないから御免だよ」
 本来ならセルバンテスが受けるはずだった任務を、あの国警の男と決着をつけるためならと引き受けたのはアルベルト。
 そして…アルベルトがもしかしたら不自由な生活をしているのではないかと、心配した扈三娘がやってきたのが昨夜だった。
 身の回りのことくらいはだいたい自分でできるし、なにかあった場合にはイワンも駆けつけるからと言っておいたのに…彼女の言い訳は秀逸だった。
「で、でも、あの、少しはなにかお役にたてるかと思って…貴方の背後を守るくらいはできるかもしれません」
 料理だとか洗濯だとか、家事に託けないあたりが扈三娘らしいとアルベルトは苦笑した。
 もっとも、昨夜アルベルトの腕の中で本当は会いたかったからと白状した際には、任務の邪魔になるから帰れとなおさら言いにくくなってしまった。
 そんなことを思い出しているうちに、匂いはどんどん強くなってくる。
 アルベルトはベッド脇の椅子に掛けたシャツを取り、キッチンへと向かった。
「あ、おはようございます」
「いい匂いだな」
 そう言うアルベルトとは対照的に、彼女は頬を染めて困ったような顔をする。
「どうした?」
 彼女は後ろ手になにかを隠しているようだ。


 国警を離れてからずいぶん経って、アルベルトともわかりあえているのだから、今さら命を狙ってくるとも思いがたい。
「出しなさい」
 叱るようにではなく穏やかにそう言うと、彼女はおずおずと背中のほうから少し大きな皿を出してきた。
 その皿の上には、黄色と黒の入り混じった物体…おそらくオムレツだろう…が載っており、匂いはそこから漂っている。
「な…」
 なんだこれはと聞くより先、彼女が遮るように口を開いた。
「朝食にと思ってタマゴを焼いたのです!こんなにたくさんを一度に焼くのは初めてで…それで、あの、うっかり…」
 冷蔵庫を開けると、先日イワンが買い込んできた食料で、タマゴだけがなくなっている。
「ああ…」
 向こうでは料理など全部使用人がしていたから、彼女の手料理など初めてだ。
「アルベルトさまにはなにかほかのものを…こ、これは私が処分しますから…あっ!」
 扈三娘が引っ込めるより先、アルベルトの手が伸びてきてオムレツを一切れむしり取った。
 なんのためらいもなく口に放り込む。
 焦げた部分の食感をのぞけば味は満足のいくものだ。
「悪くない」
「えっ?」
「美味い、と言ったのだ。朝飯にするぞ」
 大きなオムレツをテーブルの中央に置き、コーヒーとトーストと果物…ふたりだけで朝食をとるなんて、これも初めてだった。
「アルベルトさまはタマゴがお好きなので?」
「ああ、まあな…しかし不味いものは不味いと言う。これは…美味い」
 アルベルトの顔も赤らんでいたのだろうが、扈三娘はそれよりももっと頬を染め、はにかむような笑顔を浮かべる。
「私、もっと上手にタマゴが焼けるようにします。貴方にもっと褒めてもらえるように」

 あの記憶を留めた表情で扈三娘は微笑んでいる。
 彼女が消えるまでに何度彼女の手料理を食べただろうか…あれ以上の褒め言葉をかけたことがない。
 もう一度あのオムレツを出されたら、今度はきっと…いや、やはり自分には気の利いた言葉はかけられないだろう。
 だが詩人になったところで、彼女がいない今さらどうだというのか…。
 困り果てているアルベルトを、扈三娘は微笑んで見つめている。

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まいりぃまいろ

Author:まいりぃまいろ
ツイッターでフォロワーさんの描かれたウサヒツを見て書きました~。
レッドは絶対荒唐無稽な夢を見る。

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