GRで萌えてみる

「ジャイアントロボ」のBF団十傑集で妄想展開中。メインは成長したサニー(17歳設定)のラブストーリーとか10歳くらいの幽鬼のお話。拍手・コメント等いただけたら管理人喜びますw

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終章(エピローグ)

 船窓から見えていた景色が、海一色からほかの船や日光を反射する建物へと変わってきた。
(貧乏くじを引かされた…)
 そんなふうに考えて幽鬼はひとつ鼻を鳴らす。
 あまり目立たないように貨物船で…それでも扱いはVIP以上だが…この港へやってきた。
 珍しくサングラスなどかけているのは、この港がBF団の所有する中で一番暑くて眩しいところだから。
「海は…苦手だ」
 恐縮する船長を尻目に船を降りる。
 まっすぐに向かったのは、ここしばらくで急発展した港には不釣り合いな鄙びた酒場…しかし目的の人物は、店の前のペンキが剥げかかったベンチに腰かけていた。
「まだ開いてないわよ」
 彼女は幽鬼を見て小さく笑うとゆっくり腰を上げた。
「ふふ、冗談…特別な人のためなら開けなきゃね」
 店の中に入り、幽鬼はサングラスを外した。
 その幽鬼の前に彼女は冷えたミネラルウォーターを差し出す。
「酒はよほどのことがない限り飲まないって聞いてたわ」
 喉が渇いているわけではなかったが、口を湿らせなければ切り出せそうになかった。
「今日の用件は…あたし?それともあの人のこと?」
「後者だ」
 知っているなら話は早い…幽鬼はセルバンテスの死を伝えにきたのだから。
「知ってた…本部の、あの人の部下から連絡があって…ううん、その少し前にあの人、直接別れを言いにきたから」
「直接?」
「夢の中でね」
 いつもは派手な彼女の服装だが、黒い服を着ているのは服喪のつもりだろうか。
「ねえ、あたしどうなるの?もうお役御免なの?」
 一般的に超A級のエージェントが死亡した場合、部下の系統などは解体されるが彼女のような例外もあった。
「それも伝えにきた…今まで通りこの港の管理を任せるとのことだ」
 そう言っても彼女の表情はさして変わらない。
「ふふ、うれしいわ…だって、この港はあの人があたしにくれたたったひとつのものだもの」
 以前セルバンテスが言っていたことを思い出す…彼女は金銭や宝石や、施しめいたものはなにひとつ受け取らなかったと。
「あたしはこの港をちゃんと管理して、あの人の分もあの方に尽くすの…そう約束したのよ」
 屈託のない笑顔で話す彼女に、幽鬼は小さな箱を差し出した。



「もうひとつ、彼から渡すよう頼まれたものがある」
 彼女は怪訝そうに箱を開き…目を見開いて唇を震わせた。
「これ…!」
 そこには決して豪奢ではない指輪があった。
 幽鬼に示されて彼女が見た指輪の内側には、確かにセルバンテスが彼女に贈ったとわかる刻印がある。
「あんたの誕生日に渡すつもりだったと…俺に代わりに渡してくれと夢の中で言ってきた」
 彼女はケースから取り出した指輪をつけず、大事そうに包んだ両手ごと頬ずりした。
「あの人…あの人、こんなにあたしのこと思っててくれたんだ…ほかにもいっぱい女の人いたくせに…」
「残念だが、ほかの者は財産目当てだったようでな、彼が死んだとわかったら…」
 そう言いながら、幽鬼は彼女が指輪を抱いたまま目を閉じているのに気づき、くだらない説明は無意味だと口を閉ざして代わりにグラスの水をひと口飲んだ。
「ほかにどれだけの女の人がいたってよかったの…ほかの人みんなにも指輪を贈っていたってかまわなかったの…あの人があたしの名前を刻んだものをくれた…それだけであたしは愛されていたんだって、幸せなんだって思えるから…」
 うっとりとつぶやいて目を閉じ微笑む彼女の目から涙がこぼれる。
「へんなの…泣いている暇なんてないって…あの人の分まで尽くさなきゃって思ってたのに…今、初めてよ、泣くなんて」
 湿っぽい女の泣き顔なんて見たくない…だから貧乏くじを引くのはいやだったのに…と思いながら幽鬼は席を立った。
「俺からの用件はそれだけだ」
「待って」
 ようやく現実に引き戻されたように彼女が声をかける。
「あの人の話…してくれない?今日だけでいいから…慰めてよ…」

 どうしてそんなことになったのかはわからない。
 だが女を慰めるという方法として…幽鬼は初めて女を抱いた…彼女が教えるままセルバンテスの代わりのように。
 そうして彼女は幽鬼の胸で少しだけ声を出して泣き、泣き疲れたように眠ってしまった。
 寝る前にようやく嵌めた指輪の手を自分から外し、幽鬼は身支度を整えて月明かりの港へ出る。
 今夜の客が行儀がよかったようで【CLOSE】の看板を見ておとなしく帰っていったようだ。
 彼女はこれで落ち着いたのかもしれないが、幽鬼自身の後味の悪さは否めない。
「やっぱり…この港は苦手だ」
 彼女の眠る二階の窓を見上げてそうつぶやき、部下の待つ船へと歩き始めた。

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Author:まいりぃまいろ
ツイッターでフォロワーさんの描かれたウサヒツを見て書きました~。
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