GRで萌えてみる

「ジャイアントロボ」のBF団十傑集で妄想展開中。メインは成長したサニー(17歳設定)のラブストーリーとか10歳くらいの幽鬼のお話。拍手・コメント等いただけたら管理人喜びますw

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忘れゆく歴史

 幽鬼は現在、カワラザキの私邸を離れている。
 本部ではそろそろ一人前のエージェントとして実戦にも出るようになり、家を空けることが多くなったのだが、夫人やメイドたちに対する言い訳がなかなか見つからない。
 その結果、飛び級でカレッジに進学し、カワラザキの元を離れて暮らしているということになった。
 ひとり暮らしといっても、なにかあればすぐに帰れる距離だからと、心配する夫人をなだめるのにカワラザキはひと苦労したようだが。
 もっとも、その心配する理由のひとつは、そのカレッジにあのナマズ髭の御仁が関わっているからでもある。
 それでもカワラザキから聞かされていた幽鬼は、できるだけ私邸へ戻ってきて夫人を安心させていた。

 その夫人が高熱を出して倒れたのは、奇しくも幽鬼が帰ってきた日だった。
 熱のせいで深い眠りに陥っていた夫人がうっすらと目を開ける。
 自分の横に付き添っているのが幽鬼だとわかると、夫人はあわてて身体を起こそうとした。
「無理をするな、寝ていろ」
「でも…あの子たちはなにをしているんでしょう。幽鬼さまに付き添わせるなど…」
「皆、忙しい。俺がいちばん暇だっただけだ」
 幽鬼は優しげに微笑んで、夫人の身体に手を添えながらもう一度寝かせてやった。
「インフルエンザ…安静にとのことだ」
「私としたことが…いったいどこで伝染ってきたのか。いいえいいえ、幽鬼さまに万一伝染ったりしたら…」
「大丈夫だ。俺はもう向こうで…その、予防接種をすませたから」
 子供のころ、体調を崩したり熱を出したりするのは、すべて精神的な原因のもの。
 体内に巣食う群雲蟲のおかげで、幽鬼はウィルス性の病気にかかることはない。
「お前はいろいろと働きすぎなんだ。少しは休めということだよ」
 幽鬼に差し出されたコップの水を少し飲むと、夫人はまたうつらうつらし始め、眠ってしまった。
 幽鬼は本を読みながら夫人の手を握ってやっていたが、かすかな呻きに気づいてそちらを見た。
 手を伝わって、深い悲しみを感じる…幽鬼は少し考えてから夫人の心に入ってみた。

 

 夫人の心の中には、夫や自分の生活を奪われた悲しみや、その奪った相手への憎しみ、その憎悪から逃れられない自分への嫌悪など、悪いものがたくさん詰まった箱があって、それは夫人の心の深い深い場所に沈んでいる。
 カワラザキから夫人の話を聞いていた幽鬼は、機会があるごとにその箱を壊してしまおうと思ったのだが、それはまさしく深い海の中にあるようで、幽鬼は箱にたどり着く前に息が続かなくなってしまうのだった。
 けれども十分な能力を持った今なら…病のために気弱になっていたこともあるのだろうが、夫人の心の箱は難なく見つかり、幽鬼はそれを全部吸収してしまった。
 そのため、ではないだろうが夫人は少し落ち着いたようで、今度は穏やかな表情で目を覚ました。
「夢を…見ておりました」
「どんな?」
「昔の…いやな夢です。幽鬼さま、私は、人の死を願ったことも、人の死を喜んだこともある罪深い人間なのですよ…」
 幽鬼は、だから自分に触れてはいけないというように拒む夫人の手を、もう一度握りしめる。
 夫人の罪は幽鬼もよく知っている。
 カワラザキから組織としてではなく、個人としての殺人を依頼されたのは、夫人が仇と目する相手だった。
 カワラザキは、幽鬼を一人前に育て上げてくれた夫人への礼にと、幽鬼が初めて人を屠る相手に選んだのだ。
 なんの能力も持たない一般人を屠るのは、エージェントとして駆け出しの幽鬼にしても容易いことだった。
 夫人を不幸にした相手だと思うからこそ余計に冷酷になれたのかもしれないが、この男がいなければ夫人にも会えなかったのだと思うと妙におかしかった。
「人間なんて、そんなものだ」
「でも…なぜかふっと心が軽くなって…夫の夢を見ましたの。もう、顔なんて忘れたと思っておりましたのに…」
「夫君はなんと?」
「私は、私の罪によって夫が迎えにきたのだと思いました。けれども夫は笑って、まだこちらへこなくていい、旦那さまや幽鬼さまのためにまだお仕えしろと申しましたの…」
「ああ、では夫君が熱を下げてくれたんだな」
 幽鬼らしからぬ言葉に夫人は満面の笑みを浮かべる。
「幽鬼さまはなにを学んでいらっしゃるのですか」
「経済と心理学と…まあ、いろいろと」
 詳しく話すわけにもいかず言葉を濁す。
「幽鬼さまは大人になられましたわ。あのナマズ髭の御仁に感謝しなければなりませんわね」
「その御仁に言わせれば、俺はまだまだ甘いとさ。まあ、じいさまも同じことを言うだろうがな。そんなわけでまだお前の世話にならなきゃいけない。早々夫君に迎えにこられては困る」
 なにかが吹っ切れたように夫人は笑い続ける。
「お茶でも飲むか?土産にもらった上等の茶葉に、ハチミツとレモンを入れて…それもあの御仁に教わったんだ」
「ありがとうございます、幽鬼さま。早く治してまたお世話させていただきますね」
 少し元気の戻った夫人の声を聴きながら、幽鬼は満足げにうなずいて湯を沸かし始めた。

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