GRで萌えてみる

「ジャイアントロボ」のBF団十傑集で妄想展開中。メインは成長したサニー(17歳設定)のラブストーリーとか10歳くらいの幽鬼のお話。拍手・コメント等いただけたら管理人喜びますw

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いつかのクリスマス

「お帰りなさいませ、幽鬼さま」
 任務から…表向きはカワラザキの会社の出張から…幽鬼が戻ってきたのは、クリスマスを明後日に控えた冬の日の朝だった。
 出迎えたのは屋敷の中でも一番若いメイドで、夫人が出てこないことに幽鬼は首をかしげる。
「夫人はどうした」
 ガラクタと呼んでもいいものが入ったカバンと、埃まみれの上着を渡してそう問えば、メイドは屈託のない笑顔で答えた。
「夫人でしたら…確か、短い休暇を取られて故郷のほうへと聞いています。執事さんがそうおっしゃってました」
「そう…か」
 夫人がここへきた経緯は、幽鬼もカワラザキから聞いて知っている。
 たぶん彼女は故郷にある夫の墓参りに出かけたのだろう。
 いつ戻ってくるのかは聞かなかったが、次の任務までにはまだ少し時間がある。
 あわてることもあるまいと、幽鬼は久しぶりの自室で寛いだ。
 当の夫人が戻ってきたのは、翌日の昼だった。
 メイドから聞いたのか、夫人は荷物を置くとすぐに幽鬼の部屋へやってきた。
「幽鬼さま」
 ようやくの休みに、まだベッドの中で惰眠をむさぼっていた幽鬼に声をかける。
「ん…」
「もう陽は高うございますよ。いつまでお休みになっておられるので」
 夫人にしても、幽鬼の表向きの仕事がいかに大変かはカワラザキから聞かされている。
 出張から戻ってきた日は、時差の関係もあるということでゆっくり寝かせておいてやるのだが、さすがに一日以上ベッドの中と聞けば、そろそろ手厳しくせねばと思うのだ。
 まだぐずぐずとしている幽鬼に焦れ、夫人はひとつ足を鳴らした。
 幼いころの習慣で、それでもベッドから出なければ夫人のきつい叱責が待っている…大人になったにもかかわらず幽鬼はぱちりと目を開け、ベッドに起き上がった。
「お帰りなさいませ、幽鬼さま」
「ああ…お前も…お帰り…」
 にやりと笑った夫人に一本取られたような気分になり、幽鬼はのろのろと服を身につけ始めた。
「なにか私に、ご用があったそうで」
「なぜそう思う?」
「メイドから幽鬼さまが私のことをお尋ねになったと聞きました。さらには私の留守に失望されたようだとも申しておりましたので」
 メイドたちが夫人の管理下にあることはわかっていたが、そこまで洞察力を持ったらある種の能力者だと幽鬼は心の中で毒づく。
 もっとも夫人に言わせれば、優秀なメイドたる者、主人のちょっとした変化にも気づくのが当然なのらしい。



「それでご用は」
「ああ、そうだ…」
 本題をすっかり忘れていた。
「ジンジャーブレッドマンを焼いてくれないか」
 今度、目を丸くするのは夫人のほうだった。
「ジンジャーブレッドマン、ですか?」
「ああ。クリスマスだしな」
 夫人は相好を崩し、ほんの少し嬉しそうな口調で言う。
「まあまあどうしたことでしょう。私は喜んでいいのか悲しむべきなのか…お小さいころは私になにかを作ってくれなどとねだられたことのない幽鬼さまが、こんな大人になられてから、しかもジンジャーブレッドマンを作ってくれなどと…」
「…お前のが一番うまい」
 奇妙な褒められ方に照れながらも、幽鬼は理由を聞かせてやった。
「いろいろな店のを買ってみたが、どれもお前のほどうまくなかった。それで…小さな女の子にお前のジンジャーブレッドマンを食べさせてやりたいと思ってな」
 サニーは樊瑞とクリスマスを過ごすのだろうが、あの男がそんなしゃれたものを用意できるとは思えないから、幽鬼はサニーに夫人の作ったものを贈りたいのだ。
「まあ、小さな女の子…」
「取引先の娘さんだ」
 余計な探りを入れられまいと間髪を入れず答える。
「かしこまりました。そういうことなら腕を振るいましょう」
 たいていのことはシェフやメイドたちに任せる夫人だったが、幽鬼の頼みとあらばとキッチンにこもった。
 やがて日が暮れるころにキッチンから出てきた夫人は、両腕で抱えた大きなカゴいっぱいのジンジャーブレッドマンを持っていた。
「お、おい、いくらなんでも作りすぎじゃないのか」
「幽鬼さまがご所望なのだからと、多少焼きすぎたかもしれません」
「ほほう、見事なものだな」
 顔を見合わせる夫人と幽鬼の後ろからカワラザキの声が聞こえた。
 カワラザキも幽鬼と同じく、出張帰りということになっている。
「…じいさま」
「旦那さま、いつお戻りに?」
「ついさっき、な。幽鬼、これはサニーにやるつもりだったのだろう?」
「あ、ああ、まあ…」
 出張に出かける前、世間話のようにカワラザキと話していたのを覚えていたらしい。
「これは部下に届けさせよう。残ったものは居間のクリスマスツリーに飾ればよかろう。今、執事にモミの木を用意させる」
 大きなモミの木に、メイドを総動員し幽鬼も夫人もカワラザキも手伝って、ツリーの飾りつけをする。
 例年だと幽鬼はたいてい留守で、クリスマスは夫人とカワラザキのものだったのだが、今年はもしかしたら一緒にクリスマスを祝えるかもしれないと、夫人も浮かれているようだ…そんな感情が幽鬼の中に流れ込んでくる。
「明日のイブのためにプティングやミンスケーキを焼いておいて正解でしたわ」
 いつにない笑顔で話している夫人を見て、幽鬼はそっとその場を離れ自室へ戻った。
 明日から任務を共にする予定だったセルバンテスに連絡を取る。
「すまないが…そちらへ向かうのが二三日遅れてもいいか?いや…問題はない。ただ…ファミリークリスマスってやつを、ちょっと…楽しみたいと思ったからさ…」
『ふふ、君にしちゃ珍しいこともあるもんだね…了解したよ。孔明には私からうまく言っておこう。なに、そんなに急ぐ任務じゃないし…私にはクリスマスという代物は無縁のものだからね』
 セルバンテスに滅多に述べない感謝の言葉を告げ、幽鬼は夫人たちの談笑する暖かな居間へと向かった。

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Author:まいりぃまいろ
ツイッターでフォロワーさんの描かれたウサヒツを見て書きました~。
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