GRで萌えてみる

「ジャイアントロボ」のBF団十傑集で妄想展開中。メインは成長したサニー(17歳設定)のラブストーリーとか10歳くらいの幽鬼のお話。拍手・コメント等いただけたら管理人喜びますw

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もっと近くに

 彼が組織を去って一年半が過ぎようとしている。
 最終的な話し合いの末、完全な記憶の消去は免れたが、万一にでも機密が漏れるようなことがあれば忍びの里ごと消滅させると散々脅された。
 彼は里に戻ると早急に長老の代理を決め、ゆくゆくはその者が長老の座に就けるよう働きかけた。
 実力もカリスマ性も持ち合わせている彼を長老にという声も少なくはなかったが、十数年近くも里を離れていた者がそのような地位に就くべきではないと彼は考え、今は里を離れた場所で暮らしている。
 組織に戻ることも考えたが、求められていないところへ戻るわけにはいかなかった。

「ご注文は」
 彼はメニューに目を通し、ウェイトレスに尋ねる。
「紅茶とナッツを入れたマフィンは?」
「あいにく…バナナとナッツのものならございますが」
 微笑みを崩さずそう答えたウェイトレスに、彼はかすかにうなずいた。
「コーヒーと、プレーンを」
「かしこまりました」
 甘いものが好きだから、おいしいと言われるケーキやマフィンのカフェをいくつも訪れたけれど、彼女がよく焼いた紅茶とナッツ入りのマフィンを置く店はなかった。
 未練だと言われてしまえばそこまでだが、彼女のことは今でも忘れられない。
 彼女に新しい男ができたという話でも入ってくれば、いっそあきらめ切れるのかもしれないが、妹のようにも思える彼女のことだから、自分以上の男でなければ認めてやる気にもならない。
 何度も何度も彼女を忘れようとして、彼女に新しい恋が訪れることを願って…でもそれが許せなくて。
 彼は、自分がこんなにも脆い人間だとは思わなかった。
「ありがとうございました」
 コーヒーを飲み干して外へ出た彼は、冷たい風にジャケットの襟を立てる。
 あと二、三度冷たい雨が降れば、空から白いものが落ち始めるだろう。
 暑い季節にべたべたされるのは鬱陶しかったが、寒くなってくると彼の腕にしがみついてくる彼女の温もりが心地よかった。
 もうそれも感じられなくなって二度目の冬がくる…雨になりそうな灰色の空を見上げて彼はため息をついた。



 ふと視線を感じて顔を戻す。
 だれもいない細い路地の中、彼の正面に彼女がいた。
「あいに…きちゃった…」
 彼女は泣くのを我慢しているような、ひどく真剣な顔で彼を見つめている。
「帰れなんて言わないよね?私のこと、覚えてないなんて言わないよね?」
 不安そうな表情の彼女に、彼は小さく笑って言い放った。
「お前みたいな、きれいな女に見覚えなどない」
「馬鹿ぁ!」
 彼女はまっすぐ彼に駆けてきて、その胸の中に飛び込み、何度も何度も馬鹿と口にしながら彼を叩いた。
 彼は彼女をしっかりと抱きしめて、彼女の気が済むまで叩かせている。
「よく、ここにいるとわかったな」
「里の人に聞いたの…それから、それからいっぱい探したわ…」
 こんな路地でも人は通る。
 他人の前で泣かれては困ると思い、彼は彼女を自分の住んでいる部屋へと案内した。
「ここにくるとき…すごく不安だった…」
 ようやく笑顔を見せるようになった彼女は、彼の部屋を見回して言う。
「もしも、隣にきれいな女の人がいたらどうしよう…って」
「お前以上の女にはあってない。そういうお前はどうなのだ」
 彼の問いに彼女ははにかんで答えた。
「同じよ。あなた以上の男の人には巡りあってないわ」
 彼は満足げにうなずくと彼女の身体に手を回し、先ほどより強い力で抱きしめた…。

 柔らかな朝の陽ざしで彼は目を開ける。
 昨夜はいい夢を見た…彼女のおかげで暖房があっても寒々としていたこの部屋が、暖かくなったような気がした。
「いい夢…だった」
 そんなふうにつぶやいた瞬間、キッチンから漂ってくるよい香りに気づき、ベッドから飛び降りてキッチンへ飛び込んだ。
「あ、シャツ借りてるー」
 素肌に彼の大きなシャツをきて、彼女がキッチンに立っている。
 シャツの裾からのぞいている太腿がなまめかしいが、彼女は気にもしていないらしく、さんざん泣いて思いのたけを吐き出したせいか、以前のようにあっけらかんと言ってのけた。
 いや、それよりも…あれは夢ではなかったのか…彼は自分がどんなに間抜けな顔をしているか考える。
「か、帰らなくていいのか?策士や…魔王がうるさいのでは…」
 ようやく現実だと認めて出てきた言葉がこれだった。
「あ、いいの。私、任務でここへきたんだから」
 彼女は朝食の支度をしながら、気軽に言う。
「任務、だと?」
「うん。あなたを…連れ戻してこいって」
 あの見覚えのある策士の字で書かれた書類を彼に見せる。
「ね、一緒に帰るよね?」
 彼女の不安そうな声だったが…彼の答えは決まっていた。

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まいりぃまいろ

Author:まいりぃまいろ
ツイッターでフォロワーさんの描かれたウサヒツを見て書きました~。
レッドは絶対荒唐無稽な夢を見る。

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