GRで萌えてみる

「ジャイアントロボ」のBF団十傑集で妄想展開中。メインは成長したサニー(17歳設定)のラブストーリーとか10歳くらいの幽鬼のお話。拍手・コメント等いただけたら管理人喜びますw

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「幽鬼さま、新しいメイドでございます」
 夫人が連れて挨拶にやってきた新人のメイドはかなり大柄な女で、少なくともカワラザキの好みではなさそうだったから夫人が気に入って雇い入れたのだと、十二歳の幽鬼は瞬時にしてわかった。
 彼女は、ほかのメイドとは違って笑うのも豪快だし、がさつな部分もあってよく夫人から注意されていたが、幽鬼にとってはその飾り気のなさが、ほかのメイドより親しみやすく思えた。
「なにしてるんだ」
 休憩の時間に、中庭で腰を下ろしている彼女を見つけ、そう尋ねる。
「編み物でございますよ。セーターでも…ショールでもなんでも編みます」
「だれの?」
 尋ねてから愚問だと思った。
 彼女にだって想い人のひとりくらいはいて、その男のために編んでいるのだろう。
「決めちゃいないんですよ。編み物は時間つぶしにはもってこいでしてね」
 彼女はやっぱり豪快に笑って、茶色い編みかけのベストを掲げて見せた。
「この色は…幽鬼さまにはちょっと似合いませんねえ。執事さんにでもあげましょうか」
 それから思い出したように付け加える。
「次は幽鬼さまのを編みましょうね。幽鬼さまはどんな色がお好きですか」
「あ、うん…」
 少し考えてから幽鬼が答えたのは、彼女にとっても意外な言葉だった。
「それ…俺にでもできるか?」
「編み物でございますか?もちろんですとも!なにを編むのです?」
 幽鬼の頭の中には、いつも世話になっている夫人の顔が浮かんだ。
「そうだな…ええと、ショールがいいかな…」
「どんな色になさいます?」
 幽鬼はふと頭上の、以前自分が植えたサクラの木を見上げた。
 今年の春、夫人がこの木から散る花びらを迷惑がりながらも、薄桃色の花に見入っていたのを思い出す。
「じゃあ…薄桃色の」
「あら」
 幽鬼が編みたい相手は女性と気づき、彼女は笑って幽鬼を小突いてきた。
「彼女にでもプレゼントですか。幽鬼さまも隅に置けませんねえ」
 そんなんじゃないと反論しても彼女は聞かず、その日のうちに必要な分の毛糸を仕入れてきて幽鬼を驚かせた。
「幽鬼さまもお忙しいですからね。時間のあるときに進めちゃいましょう」



 幽鬼の編み物はゆっくりゆっくりではあったが、丁寧できれいな編み方は彼女も褒めてくれたし、それがだれのものであるかわかってからも内緒にしてくれた。
 そしてショールがもうすぐ完成するというころ、別れは突然にやってきた。
 執事と彼女、そしてカワラザキとともに出かけた先で、一行は事故に巻き込まれたのだ。
 それが敵対する組織の仕業なのかはわからなかったが、明らかに爆発はカワラザキを狙っていた。
「あぶないっ!」
 体勢を立て直すより先、大柄な彼女の身体が幽鬼の上に覆いかぶさってくる。
 そして幽鬼の頬に鋭い痛みが走った。
 その痛みの原因は、爆弾の破片が彼女の心臓を貫いてなお、幽鬼の頬を傷つけたためだとわかった。
「おい…」
 怒号と悲鳴の中、幽鬼はゆっくりと彼女の身体を押しのける。
 即死だったのだろうが、背中にはもっとたくさんの破片が刺さっていた。
 幽鬼は無表情に彼女を見つめていたが、やがて自分の顔がなんだか濡れているのに気づき、雨でも降ってきたのかと空を仰ぐ。
 空には雲一つなく…やっと幽鬼は自分が涙を流しているのだとわかった。
「お前を守って死んだか」
 いつの間にかカワラザキが戻ってきて、彼女の脇に屈み込む。
「じいさま…」
「泣くな。これはお前を守るという当然のことをしたのだ。悲しむことではない」
 幽鬼は指で涙を拭うと、まっすぐにカワラザキを見返した。
「こいつが…組織の人間だったら俺だって泣いたりしない。でもこいつは…普通の人間なんだ…」
 幽鬼の言わんとしていることがわかったのか、カワラザキは幽鬼の頭を軽く叩き、ポケットから取り出したハンカチを彼女の顔にかけて立ち去った。

 後に聞いた話では、彼女には身寄りがなく、だからこそ夫人が住み込みのこの屋敷に雇い入れたのだのことで、彼女は郊外の集合墓地にカワラザキの手で墓を建ててもらった。
 幽鬼はこっそりとひとりで墓を訪れると、編みあがった薄桃色のショールを墓に置いた。
「このショールはお前には小さいだろうけど、お前に見せたかったから置いていくよ。大丈夫、夫人のはまた編んでるから」
 ショールの上に花を乗せ、枯葉を踏みながら立ち去っていく。
 彼女の墓の近くから降る落ち葉が、やがてショールも花も埋もれさせてしまった。

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Author:まいりぃまいろ
ツイッターでフォロワーさんの描かれたウサヒツを見て書きました~。
レッドは絶対荒唐無稽な夢を見る。

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