GRで萌えてみる

「ジャイアントロボ」のBF団十傑集で妄想展開中。メインは成長したサニー(17歳設定)のラブストーリーとか10歳くらいの幽鬼のお話。拍手・コメント等いただけたら管理人喜びますw

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夜風の中から

 開け放した縁側からそよそよと夜風が入ってくる。
 彼女はほんの少し障子戸を開けて、カワラザキの眠っている部屋へ風を送った。
 彼女自身は縁側に腰掛けて、満天の星空を見上げていたが、やがてその空には雲が広がり始め、風にもわずかに湿気が混じり始めた。
 どこを吹き抜けてくるのか、ひゅうひゅうと音がする。
 雨が降るだろうか、それとも一時的なものだろうかと彼女が思案していると、障子戸の向こうから声がした。
「おい、閉めろ」
「はい」
 彼女はあわてて障子戸を閉めたが、声は続いた。
「雨戸も全部だ。風を入れるな」
「はい」
 言われるままにすべて閉ざせば、家の中は真っ暗になる。
 カワラザキの咥える葉巻を頼りに部屋の明かりをつけた。
「雨になりますか」
 一度に蒸し暑くなった部屋の中で、カワラザキが不快にならないよう彼女は団扇で風を送る。
「…今夜の風は…好かねえ風だ…そのうち、雨も降る」
「空調を入れますか」
「そうしろ。お前の手が疲れるだろう」
 彼女は小さく笑って団扇を置くと、部屋の空調を入れた。
 蒸し暑かった部屋に涼しい風が満ちていく。
 カワラザキは柱にもたれて葉巻をふかしながら目を閉じていた。
 彼女は、カワラザキがこの家にきたときはいつもそうしているように、その顔を見つめている。
「風の音が…」
 カワラザキがひとりごとのようにつぶやいた。
「女の声みてえに、聞こえやがる…」



 昔、彼女と出会うずっと前に、カワラザキにはひとりの女がいた。
 別に彼専用の女というわけではなく、その日その日で男を取り換えるような浮気な女だった。
 どこの支部にいたのかは、もう忘れた。
 ただ、派手な化粧と甲高い笑い声と…男を誘う妖艶な仕草を断片的に覚えている。
「なに、逃げた?」
 久しぶりで支部を訪れたとき、そんな話を聞かされた。
「はい。エンジニアのエージェントと」
 思想的にも能力的にも、この組織には不似合いな女だったから、退屈に耐えかねて逃げ出したとしても不思議ではなかった。
「BFはなんとおっしゃっている?」
「それが…なにもおっしゃらず…」
 そもそも末端のエンジニアと女エージェントが逃げたからといって、大々的に捜索する必要もないからだろうと彼は納得する。
「BFがなにもおっしゃらないのなら、放っておけばいい」
 ところがそのエンジニアが、組織の機密を持ち出したと発覚しては楽観視もしていられなくなった。
 そしてエンジニアに追手が迫り、抹殺されてから女の行方は知れなくなった。
 エンジニアは死に、機密は取り返した。
 女のことなどだれからも忘れられたころ…不意に彼の前に現れたのだ。
「…お前…!」
 最初の命令ではふたりとも殺すはずだった。
 女が現れたならその命令はまだ生きている。
「あたしを…あたしを殺したりしないでしょ?カワラザキさまのお力で、あたしをまた元の…」
 なぜ躊躇したのか、わからない…だが、確かにそのとき彼は動けなかったのだ。
 女は両手を広げ、彼を抱きしめようとするように近づいてきて…その場に倒れ込んだ。
 女の背後から十常侍が姿を現す。
「どうした激動、誑かされたか」
「…いや、そんなわけ…」
 そのとき初めて、それが女の能力だと知った。
 相手を誘惑する…そんな能力を持つ者だってこの組織には存在するのだ。
 そして十常侍は背後から近づいたために女には惑わされなかった…たぶん十常侍が宦官だからという理由ではないだろうが。
 女の死に顔は笑っていた。
 その顔にいつかの甲高い笑い声が重なる。

「最後の最後に…俺を誑かしたことを笑ってやがった…その声が、風に載って聞こえる気がするんだ…」
 高温にもかかわらず、そう言ってカワラザキは葉巻を手の中で握りつぶした。
「あなたに…怖いものがおありなんて…お気になさるようなことではないでしょう」
 笑みを浮かべてそう言った彼女を、カワラザキは小さくにらむ。
「なんとでも言え」
「私がおりますわ」
 ほんの少しはにかみ、彼女は言葉を続けた。
「その方はあなたに勝ったと確信して笑って逝かれたのでしょうから、この世に、ましてやあなたに未練などないでしょう。いつまでも死んだ方のことなど考えていらっしゃると…私が妬きますわよ?」
 カワラザキは謎めいた笑みを浮かべる彼女の中に、風に揺らめいても決して消えることのない炎を感じて、しばらく彼女を見つめていたが、やがて苦笑いした。
「フン、死んだあいつより生きているお前のほうが怖いな」
「お酒をお持ちしましょう。飲んで、憂さなどお晴らしになれば」
 台所へ向かう彼女の後姿を見送り、カワラザキは雨戸や障子戸を開け放す。
 夜風はもう音を立てず、優しくカワラザキの頬を撫でていった。

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Author:まいりぃまいろ
ツイッターでフォロワーさんの描かれたウサヒツを見て書きました~。
レッドは絶対荒唐無稽な夢を見る。

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