GRで萌えてみる

「ジャイアントロボ」のBF団十傑集で妄想展開中。メインは成長したサニー(17歳設定)のラブストーリーとか10歳くらいの幽鬼のお話。拍手・コメント等いただけたら管理人喜びますw

Entries

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

少しだけ片思い

 彼女はいつものように朝の支度を済ませ、ひととおりの家事を終えて家の前にある小さな菜園にいた。
 ふと山とは反対のほうへ目をやると、だれかがこちらへ向かって歩いてくる。
 その姿は…彼女も他人のことは言えないが…ひどく時代遅れの服装で、彼女はその人物を怪しむことすらしなかった。
「どうなさいましたの?」
 この家は道路につながっている場所からはとても離れているし、BF団のエージェント以外はほとんど知るはずもない。
 文字通り、その人は…明らかにこの家を目指してきたのでなければ…迷い込んできたのだとわかった。
「私としたことが」
 女性はようやく人家を見つけた安堵にひとつ息をつくと、毅然とした態度で話し始めた。
「バスの中でついうっかり居眠りをして、気がつけば全く知らない場所…焦って降りてしまったらなにもない場所に放り出されて…おまけに道を間違えたらしく山のほうへ向かっているしで、正直不安に思っていたところです」
 口ではそう言っているが、そんな態度を微塵も見せない。
 この時代に電話も持ち合わせていないと言うし。
 しかし女性の顔つきやしゃんと伸ばした姿勢などを見れば、そういう性格の人なのだろうと思えた。
「それはお困りでしょう。このあたりは道路からも離れていますし…よろしければお休みになりませんか?知り合いに連絡して、バスの通る街道まで送ってもらいますから」
 彼女の申し出を受け入れ、女性は土で少し汚れたドレスの裾を気にしながら縁側へ腰かけた。
 とたんに彼女の飼っているイヌが女性に向かって吠え始める。
「こら、駄目よ」
 彼女が叱るより先、女性がイヌを黙って見つめるだけで、不思議にイヌは尻尾を巻いて小屋へ入ってしまった。
「あら、珍しい…滅多に人を怖がったりしませんのに」
「私が怖いのでしょう」
 女性は不快そうな様子もなくそう言い、彼女の出してくれたお茶をひと口すする。
「それにしても…珍しいお家ですわね」
 彼女が生まれた国の古民家風の建物が珍しいようで、女性は首を巡らせて周囲を見回した。
「ええ。私の…ある方が私のために建ててくださいましたの」
「そうですの」
「では、私は知り合いに連絡してまいりますね」
 彼女が本部に連絡して、だれかを回してもらう話をしている間、女性は風通しのために開けてあった部屋をながめ、かすかに鼻をうごめかせた。
 十数分後にやってきたエージェントが扮する農夫の車に乗せられて、女性は何度も感謝の言葉を述べながら去っていった。
 女性が見えなくなってから、彼女はようやく小屋から顔を出してきたイヌに向かって話しかける。
「お前が…怖がる相手はあの方だけ…ねえ、あの人は、もしかしたら…」
 彼女の言葉にイヌは同意するように小さく吠えた。



 夫人はようやくバス停を見つけてそこで降ろしてもらい、帰宅の途についた。
「…そんな気は…しておりましたのよ…」
 カワラザキに呼び出されたのは数日前。
「旅行にでも出かけんか?」
「予定はございませんが」
 カワラザキは苦笑して頭をかく。
「社のほうから連絡がきてな、お前にはほとんど休みを与えていないから、それでは具合が悪いというのだ」
「しかし私は家族同然に扱っていただいております。今さらお休みというのも…」
「まあ、お前の気持ちもわからんではないが、儂の立場もあるのでな…」
 そんなわけで執事とコックと少しずつ時期をずらして休みを取ることになったのだ。
 もっとも、カワラザキと執事にすれば夫人がいない間に、BF団のものを屋敷へ運ぶのに都合がいいのだが。
 そして道に迷ってしまったということもあって、夫人はほんの少しだけ早く屋敷へ戻ってきた。
「おや、もうお帰りになったのですか」
 出迎えてくれたのは執事。
 屋敷の中はしんと静まり返っている。
「ちょっとトラブルがありましたの。あとの休暇は屋敷の中で読書でもして過ごしますわ。それにしても…ずいぶん静かですね」
「あなたが出かけられてからすぐにメイドたちにも休暇をやりました。ああ、旦那さまは幽鬼さまを連れて会社のほうのリゾートへ」
 執事は人のよさそうな笑みを浮かべて話を続けた。
「荷物を置いて着替えていらっしゃいませんか。今日は私がお茶を入れましょう」
 しばらくしてから夫人が執事の部屋へいってみると、ドアを開けたとたんによい香りに包まれた。
「あなたほど上手ではありませんが、私もお茶くらいは入れられますよ」
 冗談めかしてそう言って、執事は夫人にカップを差し出す。
 香りのよい紅茶で口を潤し、ひと息ついてから夫人は旅行でのトラブルについて話した。
「それは…災難でしたね」
 ややあってから夫人はためらいがちに言いかけた。
「…旦那さまには…いえ、なんでもありません」
 いつもは自信に満ちていて言いよどんだりしない夫人の態度を訝しく思ったが、執事はこれまでの話から夫人が彼女に出会ったのだとわかった。
「あの家には…旦那さまの…匂いが…」
「それ以上、お話にならないほうがよいのではないですか」
 夫人ははっとして顔を上げる。
「私、そんなつもりは…でも、旦那さまにも…そういう女性があって…当然で…」
「あなたらしくありませんな。たとえ旦那さまのこととはいえ、そのようなことを気になさるなんて」
 執事はポットを持ち、空になった夫人のカップに二杯目の紅茶を注いだ。
「そう…ですわね」
 ようやく夫人は小さく笑った。
「主人とは親同士が決めた婚姻でしたので、私は恋というものなど知らなくて…ああ、もちろん主人との生活は幸せでしたよ。でも、あの…」
「旦那さまに恋されましたか」
 執事がそう言った瞬間、夫人の眉がきりりと上がった。
 あわてて執事は肩をすくめる。
「本気でおっしゃってますの?」
「ああ、いえいえ…その、口が滑りました。しかし旦那さまは艶聞には欠かない方ですから…私あたりは妥当ではございませんかな」
 冗談とも本気ともつかない顔でそんなことを言うので、夫人は面食らってしまった。
「…おかしな方。私はそのようなことを申し上げているのではありませんわ」
 しかし目の前にいる卵型に禿げ上がった頭の男を見つめるうち、なんだか愉快になってきて笑い始めた。
 次にもし機会があれば、もう一度あの家を訪ねてみるのもいいかもしれないと思いながら。

*Comment

Comment_form

管理者のみ表示。 | 非公開コメント投稿可能です。

Menu

FC2カウンター

プロフィール

まいりぃまいろ

Author:まいりぃまいろ
ツイッターでフォロワーさんの描かれたウサヒツを見て書きました~。
レッドは絶対荒唐無稽な夢を見る。

最近の記事

フリーエリア

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。