GRで萌えてみる

「ジャイアントロボ」のBF団十傑集で妄想展開中。メインは成長したサニー(17歳設定)のラブストーリーとか10歳くらいの幽鬼のお話。拍手・コメント等いただけたら管理人喜びますw

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焔の女

 組織が落ち着き、活動が活発になり始めると、カワラザキには表の顔が必要となってきた。
 形式上、セルバンテスの会社の会長職を務めているということにし、本部からはずいぶんと離れた土地に屋敷を構えた。
 役職柄というにはあまりにも広すぎる屋敷にカワラザキは閉口し、まずは自分の古くからの部下を本部から連れ出し執事とした。
 そしてカワラザキの気に入った料理を作れるコックも、本部から連れてきた。
「使用人頭…メイド頭が必要ですな」
 しかしすべてを組織のエージェントで賄ったのでは、どこかから怪しまれないとも限らない。
 そこでカワラザキはメイド頭以下のメイドをすべて一般から雇うことにした。
「大丈夫でしょうか。カワラザキ…旦那さまの秘密が漏れでもしたら…」
「そのためにお前がいる。使用人たちには常に目を光らせておくように」
「ではせめてメイド頭だけでもエージェントから…」
 カワラザキは小さく首を振り、すでに広告の載った新聞を広げて見せた。
「よ、よろしいのですか?BFの許可は…」
「すでに了承済みだ。そして面談は儂自身が行う」
 取り立てて高給というわけでもない募集広告に応募してくる者は少なく、またカワラザキ自身の目に適う者はいなかった。
「どのような者をお待ちなのですか」
 あわてることではないが、あまり選り好みしていてはやはり怪しまれないかと執事は心配する。
「どんな…女がよいだろうな…」
 他人事のようにそう言って、カワラザキは雨が降り出した窓の外へ目をやった。
「む?」
 門扉の前に、古ぼけた傘をさした…古臭いドレスを着ているので女性らしいとわかる…だれかが立っている。
「なぜベルを鳴らさないのでしょうか」
「迷っているのかもしれんな…呼んでこい。話をしよう」



 窓から見えたときにはわからなかったが、痩せぎすの中年女性はその顔立ちからちょっとした猛禽類を思わせた。
 女性が傘と同じように古ぼけたカバンから取り出した書類をながめながら、カワラザキは背筋を伸ばして椅子に腰かけている女性を観察する。
 今はとっくに廃れてしまった丈の長い首まで覆うドレスに、後ろでひとつにまとめた髪…毅然とした態度は彼女が高貴な家柄の出だと示していた。
 机の脇にある端末で調べれば、彼女の出自は貴族であり、没落して消えてしまった名家のひとつだった。
 経歴によれば最近まで厳格で有名な寄宿校の寮長を務めていたとある。
「ふむ…今、儂が求めているのはメイドを束ねてくれるメイド頭なのだが…経歴としては申し分なさそうだ」
「ありがとうございます」
 彼女は表情ひとつ変えずそう答えた。
「それで?この家に入るのをためらっていた理由はなにかな?他人に雇われるのが嫌だというわけでもなさそうだが…」
「寄宿校の寮長などやっておりましたから、そういうわけではございません。しかし辞めてからいくつか仕事を探してみましたがどこにも断られたために、ここでも同じようなことになりはしまいかと思っていたのでございます」
 この外見ときつそうな性格などを考えれば、ちょっとした仕事などロボットにやらせたほうが楽な世の中としては、確かに再就職は難しいだろう。
「公立の寄宿校ならば定年まで勤め上げれば年金もよく、老後も安泰であっただろうになぜ辞めたのだね」
 初めて彼女の眉がピクリと動いた。
「お話すればお笑いになるでしょう」
「話したくないのならば無理にとは言わんが…」
 今後のことを考えるとカワラザキを信頼できない人間では少々具合が悪い。
 しかし彼女はきっぱりと言い切った。
「お笑いいただいても仕方がございませんが…寮にひとりの女生徒が入ってまいりました」
「ほう」
「…私…私たちを破滅に導いた男の愛娘でございました…」
 彼女も若いころには結婚していた。
 子供にこそ恵まれなかったが、それなりに幸せな生活を送っていたのが、ある男によって夫は陥れられて殺され、家は滅んでしまったのだという。
「娘に付き添って入学時にやってきた男の顔を忘れるはずなどございません…!」
 ハンカチを握りしめた彼女の手が震えている。
「…その娘を手にかけた、のかな」
「いいえ…しかし私はいつかそうしてしまいそうで…なにも知らぬ無垢な少女を、憎しみのあまり手にかけてしまいそうで怖かったのございます。それでそうなる前に…私が自分を抑えていられるうちに離れたのでございます」
 そう言い終わってから彼女は寂しげな表情を浮かべた。
「…愚かな理由でございます…」
 唇を真一文字に結んでカワラザキを見ている。
「まだその男を憎んでおるかな」
「はい…しかしその感情を捨てよとおっしゃるのならば、これでお暇させていただきます」
 カワラザキは深くうなずいた。
「捨てよなどとは言わん。人は生きていくのになんらかの心に秘めたものが必要だ」
 彼女の心の中にずっと燃えている焔は、必ず自分のためにも燃え盛ってくれると直感した。
「さっそく今日から住み込みでお願いする。詳しいことはこちらの執事に聞くとよい。そして…明日から最初の仕事は、お前の目に適ったメイドを探すこと、いいかな?」
 お前と呼ばれたことは彼女にとって不快ではなく、今の言葉から採用が決まったとわかり彼女は目を見開いた。
「ありがとうございます。どうぞよろしくお願いいたします」
「ではこちらへ」
 執事の案内に、古ぼけた傘とカバンを持って出ていく彼女の後姿を見ながら、カワラザキは彼女の仇である男の調査を部下に命じた。
 彼女が自分を満足させる働きをした暁に、その男の死を褒美として与えるために。

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Author:まいりぃまいろ
ツイッターでフォロワーさんの描かれたウサヒツを見て書きました~。
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