GRで萌えてみる

「ジャイアントロボ」のBF団十傑集で妄想展開中。メインは成長したサニー(17歳設定)のラブストーリーとか10歳くらいの幽鬼のお話。拍手・コメント等いただけたら管理人喜びますw

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ソメイヨシノ

 陽が傾きかけた。
 幽鬼は風もないのにはらはらと舞い落ちる桜の木を仰ぎ、木漏れ日に目を細める。
 
 カワラザキがBFの命令を守るために己の命を賭した。
 その死の間際、カワラザキがいったいなにを想い、どう感じていったのか…幽鬼にはなにもわからなかった。
 これだけ互いの結びつきがあったのだから、カワラザキがなんらかの想いを放てば幽鬼には受け取れるはずなのに…その瞬間にはなにも感じられなかった。
 それはつまり、カワラザキはBFの命令だけを考え、それ以外のなにも…幽鬼のことや組織のことすらも…想いを遺さなかったということ。
 カワラザキの死を知らされたときは一瞬愕然としたが、すぐに自分の為すべきことを考え行動に移していた。
 薄情な、とだれかが言えばそれまでだが、カワラザキは決して自分の死を嘆いたり悲しんだりすることを望んではいなかったはずで、そのことはカワラザキよりもずっと若い男が先に斃れたとき、聞かされていた。
「桜の花の潔さが好きだな」
 ずっと昔、カワラザキがそんなことを話した。
 カワラザキが好きだし、春になって花を咲かせたら見事なものになると知っていた幽鬼が、子供のころに本部の庭と私邸の庭に桜の苗木を育て、数年前から美しい花を咲かせるようになった。
「孔明や樊瑞は梅がいいというが、やはり桜のほうがいいな」
 目を細めて桜の木を見上げるカワラザキを隣に見ていたのは、ほんの昨日のことのように思えるのに…。
 幽鬼は思わず隣を見たが、だれもいるはずはなかった。



「おや、幽鬼さま」
 久しぶりに訪ねたカワラザキの私邸は、一報が入ってすぐに片づけられ、今ではカワラザキの部下であり忠実な執事である男がひとりいるだけだった。
 家具にはすべてカバーがかけられ、遺されたものはなにもない。
「すっかり片づいたな」
「はい。使用人にはすべて暇を出しましたし、本部に残っている部下たちも解散させほかの方の下へと振り分けました」
 あまりの手際のよさに、幽鬼は以前カワラザキがこの執事のことを気が利きすぎると笑っていたのを思い出した。
 その執事が思い出したように付け加えた。
「もしも幽鬼さまがこの家をお継ぎになるということでしたら…」
 その言葉に幽鬼は苦笑して手を振った。
「俺には使用人を使う裁量もないし、この家の広さは不相応だ…解体し廃棄してくれ」
「かしこまりました」
 そして幽鬼は執事と一緒に庭へ出て、本部のものと同じように見事に花を咲かせている桜の前へやってきた。
「カワラザキ…旦那さまはこの木がお好きでした。特に花の咲くころになりますと、庭が散った花びらでいっぱいになって掃除が大変だと夫人がこぼすことすら楽しそうになさっていました。なにしろ…真の名前を捨てたあの女を、この木の名前で呼んでいらっしゃったくらいでしたから」
「そう…か」
 そこで幽鬼は初めて、カワラザキと懇ろになっていたあの女のことを思い出した。
 あの女はカワラザキのことを知っただろうか、泣き暮れているだろうか…そんなことをふと考えたとき、それを読み取ったかのように執事が口を開いた。
「旦那さまの訃報と同時に、私のほうへあの女のことが入ってまいりました…どうやら、旦那さまと時を同じくして命を絶ったようです」
「ああ…」
 カワラザキのように目を細め桜をながめながらそう言う執事へ、幽鬼は声をかけた。
「お前の行くあてはあるのか。もしなければ俺の…」
 部下に、という言葉の前に執事は首を振った。
「私はもうこの歳ですから、幽鬼さまにお仕えしても役には立ちません。己の思うままにさせてください」
 本人がそう決めたのなら、幽鬼にはそれ以上なにも言えない。
 桜の木の前で別れ、幽鬼は本部への帰途に就いた。
 十分も経ったか経たないかのうち、幽鬼の背後で激しい爆発音が響いた。
 思わず振り向くと、屋敷が爆発音とともに業火に包まれていくのが見える。
 どこまでもカワラザキの世話をする…これがあの執事の、あの女の選んだ道なのだと知り、幽鬼は呆然とその場に立ちすくんだ。

 己の眼前にはらはらと散り落ちる花びらを手で受けながら、幽鬼は小さくつぶやいた。
「俺も…あなたのように、ただ一途に迷いなく命を投げ出せるだろうか…この花のように潔く…」
 桜が答えるはずもなく、ただ幽鬼の手に花びらが降り積もるだけだった。

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Author:まいりぃまいろ
ツイッターでフォロワーさんの描かれたウサヒツを見て書きました~。
レッドは絶対荒唐無稽な夢を見る。

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