GRで萌えてみる

「ジャイアントロボ」のBF団十傑集で妄想展開中。メインは成長したサニー(17歳設定)のラブストーリーとか10歳くらいの幽鬼のお話。拍手・コメント等いただけたら管理人喜びますw

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よくある話

 彼の会社の新しいプロジェクトとして、あの港に彼の船がついた。
 港にできた倉庫の管理人が飛んできて、彼に恭しく頭を下げる。
「よもや会長自らいらっしゃるとは…!」
「ああ、気にしないで。新規の寄港地がどんなところか、見たかっただけだから」
「しかし…そのお姿はよろしいので?」
 彼の正体を知っている管理人は、クフィーヤをつけていない彼の姿を気にした。
「うん…まあ、今だけね」
 あのとき彼はクフィーヤをつけていなかった。
 ほんのちょっと、あの娘に顔を見せる時間だけ外していることに、彼の信奉する神が目をつぶってくれることを願う。
 見覚えのある通りをながめながら、確かにあの娘が住んでいた部屋のあたりへやってきた。
 しかし、二階の窓には頑丈な目張りがされており、階下にあった店の名前も変わっていた。
 つい反射的に周囲を見渡していたら、店の前に置かれた粗末なベンチに座る女が声をかけてきた。
 女はあの娘と同じような黒髪と浅黒い肌をしていて、でもあの娘より幾分年上に見える。
 ちょうどいいと彼は女にあの娘のことを尋ねた。
 女は彼のあまり好きではないきつい香りの煙草の煙を吐き出しながら、小さく笑った。
「あんたのこと、聞いてたよ。ナマズ髭の男(ひと)って…よかったら中へ入らない?今この店はあたしのものなんだ」
 女に促され、彼はそうきれいでもない酒場の中へ入っていった。
「なにか飲む?テキーラ?ジン?それともラム?」
 咥え煙草で尋ねる女を、彼はやんわりと断った。
「昼間から酒は飲まないんだ」
「ソフトドリンクはないよ。あんたに出せるのは水くらい」
「それでもいいよ」
 女はクーラーからよく冷えたミネラルウォーターを出し、彼の前に差し出したグラスに注ぐ。
「あの子、いつもあんたのこと話してた。いい男じゃないけどいい人だったって」
「あらら。そこは嘘でもいい男って言ってほしかったな」
 女がなかなか娘のことを話さないのは、娘がもうここにはいないからだと彼にはうすうす感じられた。



「あの子…どうしているの?」
 彼の問いに女は黙って煙を吐き出し…遠い目をした。
「もう二月ほど前になるかな…あの子には好きな男がいたの。この港へよく立ち寄る海の男…よくある話でしょ」
「そうだね」
 彼の相槌に小さく笑って女は続ける。
「あの子は本気だったけど男にとっちゃただの遊びだった。それもよくある話で…あの子の部屋で男と言い争いの声が聞こえてね、男が港を出ていってしばらく経った嵐の晩に、あの子は海へ飛び込んだんだよ」
「…海の男と港の女には、よくある話なんだろうね…」
 彼はやりきれないというようにグラスの水を飲んだ。
「あの男は、上手な口であの子を騙して、そのくせ今ものうのうとこの店へ出入りしているんだ…」
「今夜も、くる?」
 彼の目から穏やかな光が消えていた。

 はたしてその男は、彼が尋ねた通り店へやってきた。
 こいつがその当人だと女が目配せして彼に教えてくれ、彼は上機嫌で店を出た男のあとをつけた。
「君、君」
 おあつらえ向きに港には霧が出始めている。
 彼の呼びかけに振り向いた男は、目を凝らして彼の姿を探した。
「なんだい。なんか用か」
「君、酒場の二階に住んでいた女の子を知っているだろう」
「ああ、あいつか」
「あの子が死んだって知っていた?」
 その言葉を男は鼻で笑う。
「そうらしいけど、俺の知ったこっちゃない。ああ、なんだ。あんたもあいつの客か」
「あの子は君のことが好きだったんだろう?」
「好きって…勘弁してくれよ。遊びに本気になられても困るし…」
 話している間も足を止めなかった彼は、男の手前まで近づいていた。
「私も悪人と呼ばれる男だが、君ほど外道ではないよ」
 そう言うなり彼の手にあった銃が火を噴いた…。

 翌朝、彼は女と並んで店の前のベンチに腰を下ろしていた。
 女は煙草をふかしながら、興味なさげに話し始める。
「あの男、殺されたって。今朝、死体が海から上がったらしいよ」
「ふうん」
「ごたごたに巻き込まれたりして海に浮かぶ…よくある話よ」
 ややあってから彼は小さく笑って言った。
「君はそう望んでいたんだろう?そうでなければ、私にあの男の話などするはずがない」
 女は同じように小さく笑う。
「…あの子はあたしにとっちゃ妹みたいなもんだった。だから…あんたならあの子の仇を取ってくれるんじゃないかって思っただけ」
「正解だね」
 耳が痛くなるほどの汽笛が鳴り響いた。
「そろそろ時間だ。私はいかなければ」
 立ち上がった彼に女は尋ねる。
「ねえ…あんた、いったい何者なんだい?」
「どこにでもいる、陸(おか)の男だよ」
 背を向けたまま去っていく彼の姿を見送りながら、女は遠い目で海を見つめた。
「…なにもかも、よくある話…」
 煙を吐きながら小さくつぶやいた。

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Author:まいりぃまいろ
ツイッターでフォロワーさんの描かれたウサヒツを見て書きました~。
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