GRで萌えてみる

「ジャイアントロボ」のBF団十傑集で妄想展開中。メインは成長したサニー(17歳設定)のラブストーリーとか10歳くらいの幽鬼のお話。拍手・コメント等いただけたら管理人喜びますw

Entries

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

港にて

 まぶたがやけに熱い。
 鼻を不快な匂いがつく。
 止めに耳をつんざくような汽笛の音に、セルバンテスはがばと跳ね起きた。
 その瞬間、腕と腿のあたりに痛みを感じる。
「あ、起きたんだ」
 声のほうへ目をやれば、浅黒い肌と艶やかな黒髪を持った娘が現れた。
「ここ…は…」
 自分が寝ているベッド脇の大きく開かれた窓の外には、海が広がっている…停泊している貨物船から見てどこかの港のようだ。
「びっくりしたよお。だってあんた、身体半分海に落ちかけて倒れてたんだもの」
 そう言って娘はケラケラと笑う。
 セルバンテスはちょっと頭をかき、ここへくるまでの記憶をたどり始めた。
 この暑い国へ任務のためにやってきて、その中で国警との小競り合いがあって…倒しても倒してもきりがないのでその場を失敬しようとして、銃弾を食らいとっさに海へ飛び込んだ。
 海の中で身元のわかりそうなもの…ゴーグルもクフィーヤも通信機も全部まとめて廃棄した。
 今ごろは船のスクリューあたりに巻き込まれてずたずたになっていることだろう。
 それからなんとかここまで泳ぎついて…岸壁から上がったあたりで気を失ったらしい。
「君が助けてくれたの?」
「まあね。見つけたのはあたし。それから店のマスターを呼んでここへ運んでもらったの」
 窓から見下ろすとすぐ下にバーの看板があった。
 腕と腿には包帯が巻いてあったが、自身の感覚ではたいした怪我ではなく、一、二日で治るだろうと思われる。「とにかく…お礼を言わなきゃね。ありがとう」
「お礼なんかいいのよ。それよりなんか食べる?たいしたものはないけど」
 どのくらい寝ていたのかはわからないが腹は減っている。
 セルバンテスは謹んでその申し出を受け…数分後に後悔した。
 娘が運んできたのは、やけに辛いソースで味付けされた魚のフライだった。
 口にこそ出さなかったが、本部にいるときカワラザキからサバイバル術…つまりなんでも食べられる…を習っていてよかったと思った。



「お礼より」
 とにかく体力をつけるためにとフライを頬張るセルバンテスに、娘が切り出した。
「今夜、下の店に降りてるか港へ出ていてほしいんだ。あたし昨日仕事してないからさ」
「仕事?」
「夕方に大きな貨物船が入るんだよ。そしたら船員たちは船を降りて飲みにくるだろ?それから…あとは言わなくてもわかると思うけどさ」
 ああ…とセルバンテスはすぐに納得した。
 娘は酔った船員をこの部屋へ招いて「仕事」をするのだ。
 まだ年端もいかない娘が、どんな事情でそういう生業をしているかは聞かない…だからそれ以上は話さなかった。
「いいよ。ちょっと電話を貸してもらえたら迎えにきてもらうから。君の迷惑になる前に帰るよ」
 娘は自分の電話を差し出しながら、ほんの少しさびしそうに笑った。
「やっぱりさ…あんたには帰るところがあるんだよね」
「帰る場所のない行き倒れだとでも思った?」
 秘密の番号を打ち込んで、バーの名前を告げて電話を切る。
「まさか。あんたけっこういい身なりだったし…奥さんとか子供さんとか待ってるんだろなって思ってた」
 娘はそろそろこの生活に疲れてきているのかもしれない。
 それでもこの港が好きで、海が好きで、下の道路でにぎやかな声を上げている娘の仲間の女たちが好きだから離れないのだろう。
 ややあってからセルバンテスは口を開いた。
「お礼をしたいけど一文無しなんだよね」
「礼なんていいってば」
「だからさ…君がよければ私と一緒にくる?」
 娘は一瞬動きを止め、すぐにその言葉を笑い飛ばした。
「やだ、からかわないでよ。あたしなんか連れてったら奥さんが…」
「悪いけど独り身」
「え…」
 娘は言葉を失ったが、外から聞こえた汽笛で我に返った。
「あ、あんたはほら、あたしのお客でもないし。あたしのことは全然気にしなくていいから」
 この港から離れないなにか、離れられないなにかに縛られる娘を、解放する術はセルバンテスにはない。
 普通の生活を送る人間ではないセルバンテスには。
 セルバンテスはあのどさくさで外すのを忘れた、自分の首の金のネックレスを差し出した。
 売ればそこそこの値段にはなるはずだ。
「あのさ…」
 何度も言わせるなという態度の娘を遮り、セルバンテスはにやりと笑った。
「これがあったの、忘れてた…それでさ、私が今日の君の、最初の客になるっていうのはどうかな?」
 娘はあっけにとられていたが、満面の笑みを浮かべてネックレスを握りしめセルバンテスの首にしがみついてきた。

 迎えの車に乗ったセルバンテスは、あの大きな窓から手を振る娘を見上げた。
「セルバンテスさまがいらっしゃったこと、知られてまずくはありませんか?」
「私の身元などわかるはずもない。放っておきたまえ」
「しかし…」
 早く車を出せと手で合図し、セルバンテスは言葉を続ける。
「そっとしておくのが一番いいこともあるのだよ」
 汽笛の騒々しさに窓を閉めながら、小さくアディオスとつぶやいた。

*Comment

Comment_form

管理者のみ表示。 | 非公開コメント投稿可能です。

Menu

FC2カウンター

プロフィール

まいりぃまいろ

Author:まいりぃまいろ
ツイッターでフォロワーさんの描かれたウサヒツを見て書きました~。
レッドは絶対荒唐無稽な夢を見る。

最近の記事

フリーエリア

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。