GRで萌えてみる

「ジャイアントロボ」のBF団十傑集で妄想展開中。メインは成長したサニー(17歳設定)のラブストーリーとか10歳くらいの幽鬼のお話。拍手・コメント等いただけたら管理人喜びますw

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或るをとこ

 彼女は厳格な名家の生まれだった。
 幼いころから時代遅れな行儀作法を躾けられてきたが、成人して世間を見られるようになると、貧窮していながらも格式ばかり気にする両親に嫌気がさし、好いた青年もできたとあって家を飛び出した。
 やがて青年に捨てられ、今さら家に帰ることもできぬまま偶然知った「理想の世界を作る」組織に身を投じた。
 そこが所謂「悪の側」である組織であり、多数の人間がなんらかの不思議な能力を持っているとわかっても、仕事はそれなりに楽しくて満足だった。
 そして…彼女は男に見初められた。
 最初は、そう若くもなく取り立てて容貌がよいわけでもない自分が選ばれたことに戸惑いを隠せなかった。
 一夜限りの気紛れだと思っていたのに…男はどこまでも彼女を愛してくれた。
 そして彼女は男の気持ちに応えることにしたのだ。

 彼女の暮らす家は、男と彼女が生まれた国の古い家に倣った造りになっている。
 彼女が育ってきた環境に似て、なにより男がいちばん気の休まる場所にしろと望んだから、そう大きくはない古民家のような家になった。
 月に一度は本部から生活必需品や食料が運び込まれたし、彼女に異変があれば連絡一本で本部から医療班が飛んでくるようになっている。
 彼女はというと、手慰みに縫物をしたり庭にわずかな菜園を拵えたりして過ごす毎日を送っていた。
 男の温情でここに住んでから半年余りが過ぎようとしていたが、その間に男が訪ねてきたのは三度ほど。
 たとえ本部に男がいたとしても、彼女のほうから連絡を取ることは許されなかったし、男も彼女になんらかの連絡をすることはなかった。
 男の立場から考えれば表立ったことはできず、彼女の家はある意味隠れ家のような場所でもあったためだ。


「ひとりじゃ寂しいだろう。犬でも飼っちゃどうだ」
「あなたがそうおっしゃるなら…」
 ある日男がそう言ったから、彼女は山へ捨てられていた子犬を拾った。
 ふた月ほどして男がやってきたときには、子犬は立派な番犬になっていて、初めて見る男を威嚇し敵意をむき出しにする。
「ああ、駄目、駄目よ」
 彼女はなんとか犬をなだめようとするが、男は不敵に笑ったまま。
 そうするうち彼女が止める間もなく、犬は男の腕に噛みついてしまった。
 慌てふためく彼女を尻目に男はやはり笑みを浮かべ、噛みついている犬を撫でまわした。
「いいぞ、その意気だ。その調子で俺がいないときはこいつを守るんだぞ」
 ようやく犬を引き離し、傷の手当てをしようとする。
 あれほど深く食らいついていたというのに、男の腕にはわずかに血がにじんでいる程度だった。
「俺はあれしきのことじゃあ堪えねえ。それにあれくらい獰猛じゃなきゃお前を任せられねえよ」
 豪快に笑う男の顔をいつまでも見つめていた。

 鏡をのぞき込み、薄い陶器の蓋を開けて艶紅を引く。
 男の好むあまり濃くない紅で化粧を仕上げると、年甲斐もなく娘時代に戻ったようで笑みがこぼれた。
 今日は男が訪ねてくるだろうかと化粧をするが、訪ねてこなかったとしても明日はくるかもしれないと化粧を落とす…彼女は待つことを嘆くのではなく、男の来訪を希望に生きていける女だった。
 この科学全盛の時代に古臭い考えと笑われたとしても、それが男の望む彼女の姿ならばそれでよかった。
 出かけていく朝に、彼女の身体を力いっぱい抱きしめる男の腕の強さが、決して消えない温もりとなっているから寂しさなど微塵も感じない。
「…私に…生きる希望を与えてくださって…嬉しゅうございます…」
 山の端に落ちていく夕日をながめながら、結局やってこなかった男を思って彼女はそうつぶやいた。
 そのとき犬が激しく吠えたてた。
 一瞬、彼女は「組織の敵」がやってきたのかと身構える。
 だが違っていた。
 玄関に、彼女が待っていた男が…傷だらけで血にまみれた男が…倒れ込んでいた。

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Author:まいりぃまいろ
ツイッターでフォロワーさんの描かれたウサヒツを見て書きました~。
レッドは絶対荒唐無稽な夢を見る。

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