GRで萌えてみる

「ジャイアントロボ」のBF団十傑集で妄想展開中。メインは成長したサニー(17歳設定)のラブストーリーとか10歳くらいの幽鬼のお話。拍手・コメント等いただけたら管理人喜びますw

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甘い誘惑

「先にいっている…少しその辺を散策して戻るから遅れるぞ」
 BF団に忠誠を誓ったふりをして裏切った男…その邸宅で男を始末した幽鬼は、後を部下のエージェントたちに任せ、郊外の邸宅前から伸びる坂を下って街中へと消えていった。
 重く垂れこめた雲からは今にも雪が降ってきそうだ。
 そのせいか家路をたどる人々の足も速まっている。
 これといって見るものもないような町は、人口も少なく観光客などくるはずもないため、あの男もBF団から姿を隠すためにここへ居を構えたのだろう。
 実際にはそんな甘くはなかったわけだが。
 そんなことを考えながら街灯の下に立ち止ったとき、空からは白いものが落ち、幽鬼の足元からは小さな声が聞こえてきた。
 よくよく目を凝らせば、植え込みの陰にごみと間違えてしまいそうな小さな汚い塊が見えた。
 弱々しい声を上げるそれは、痩せ細った子猫…こんな町でも動物を捨てることは条例で禁じられていて、幽鬼が少しそのあたりをうろつくと、車に轢かれたらしき野良の親猫の骸があった。
 昨日や今日、轢かれたわけではないらしく、子猫は親の骸のそばをいったりきたりするうちに弱っていったのだろう。
「…ひとつ消したなら、ひとつ拾うか」
 幽鬼はコートの下に巻いていた白いマフラーを外すと、汚れるのも構わずに子猫を包んで抱え上げた。
 どこかで温めてやりたいが、子猫を連れてカフェやレストランに入るわけにはいかず、かといってホテルを取るほどの持ち合わせはなかった。
 顔を上げ、雪の降る空を見上げたとき、通りの向こうに暖かな明かりを見つけた。



 通りに面した礼拝堂の扉は開かれており、幽鬼はだれもいない内部に足を踏み入れた。
 説教壇前のベンチに腰をおろして何気に目をやると、年季の入った聖母像が幽鬼を見下ろしている。
 邪魔していると言いたげに幽鬼が小さく頭を下げたとき、礼拝堂の奥から牧師らしき男が現れた。
「観光…の方ですかな」
 牧師は幽鬼を怪しむことなく気さくに話しかけてくる。
「いや、商用で…仕事が終わって町で買い物でも思ったらこの天気で。寒さに慣れていないので暖かそうなここへお邪魔しました」
 牧師はその答えに納得したように深々とうなずき、火の消えかかったストーブに燃料を加えた。
「今日は朝から忙しい日でした。午前中に結婚式があり、午後からは先日生まれた赤ん坊の洗礼式を二件執り行いましてね…完全に火が消えてなくてよかった」
 それでも少し気になって、幽鬼は自分がホームレスや怪しい旅行者でないことを示すために、ポケットにあったちょっと高額のコインを浄財皿に乗せる。
 それに気をよくしたわけでもないだろうが、牧師はストーブの調節を終えると微笑んで立ち上がった。
「ホットワインでもいかがですか。冷えた身体にはよいでしょう」
 礼拝堂全体が暖かくなり、それで生気を取り戻したのか、幽鬼の膝のマフラーから子猫が弱々しい声を出しながら顔をのぞかせる。
 子猫に気づいた牧師はやはり笑って言葉を付け加えた。
「その者にはミルクを」
 数分後には、子猫は床に置かれた温かいミルクを、幽鬼は生姜とハチミツの入ったホットワインを口にしていた。
「最近は物騒な世の中になったものです。つい先ほどもこの山の手の屋敷で殺人があったとか…こんな静かな町では考えられなかったことです」
 牧師は悲しそうに首を振る。
「そうかと思えばあなたのように小さき命を助ける方もあり…いやはや神の思し召しとは実に不思議なものです」
「…確かに」
 幽鬼がうなずいてホットワインのグラスを脇に置くころには、子猫もミルクを平らげて先ほどまでくるまっていた幽鬼のマフラーへ戻っていた。
 このままこの礼拝堂へ置いていこうかとも考えたが、この汚れっぷりでは牧師にも迷惑がかかるだろうと、幽鬼はマフラーごと子猫を抱えて立ち上がる。
「…冷えた身体も温まりました。感謝します」
「あなたに神のご加護を」
 礼拝堂を出るのと、背後で牧師が先ほど言った物騒な世の中から身を守るための、厳重な鍵をかける音がしたのは同時だった。
 その前に車が止まる。
「お探ししました、幽鬼さま」
 少し焦った様子のエージェントにうなずき、幽鬼は車に乗り込む。
「お寒くありませんでしたか。なにしろ今日は冷え込みがきついそうで…」
 車を出しながらエージェントがそう言ったが、幽鬼はマフラーの中で眠り込んだ子猫を指先で撫でながらつぶやくように言った。
「…些細なことで、寒さは感じなかった…」
 エージェントは意味がわからなかったが、聞き返すのも失礼かと黙り込む。
 忙しない音を立てるパトカーが幽鬼たちの車とすれ違っていった。

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ツイッターでフォロワーさんの描かれたウサヒツを見て書きました~。
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