GRで萌えてみる

「ジャイアントロボ」のBF団十傑集で妄想展開中。メインは成長したサニー(17歳設定)のラブストーリーとか10歳くらいの幽鬼のお話。拍手・コメント等いただけたら管理人喜びますw

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誘惑

 山間の小さな村だった。
 すべてが時代遅れに見え、都会の喧騒から逃れたい人間がやってくるのにはふさわしい、古き良き昔を思わせる村の中で、唯一立派な建物は村の規模と同じく小さな教会だった。
 雪こそ降らないもののひどく冷たい風に、幽鬼はコートの襟を立てた。
 村の入り口から一望すれば、人家がすべて見えてしまうほど教会の周辺に集中している…すなわち、それはこの村がいかに信仰の厚い村であるかを物語っている。
 幽鬼は余所者と見咎めて冷ややかな視線を送る老人たちを横目に、教会の中へ足を踏み入れた。
 十字架にかけられた神の子の足元にひざまずき、敬虔な祈りを捧げている背中が見える。
 頭髪の白さから、それが初老の、この教会の司祭であるとわかった。
 小さな足音か、それとも人の気配を察してか、司祭は祈りを中断すると立ち上がって幽鬼のほうを振り向いた。
「お若い方、どうされたかな。懺悔にいらしたのか」
 温和な笑みを浮かべ、穏やかな口調で語りかけてくる。
 カワラザキもときおり温和な表情をしているが、この司祭のそれとは一線を画している。
 カワラザキは悪の側にいる恐ろしい人間なのだ。
 たとえ温和な表情を浮かべていたとしても、その奥底になにを隠しているか計り知れないものがある。
 だがこの司祭は…司祭の持つ慈悲や善といったオーラを解き放った表情を浮かべているのだ。
 それが幽鬼を苛立たせた。
 自分は生まれながらにして呪われた子であり、今もすべての「善きもの」とは無縁である。
 世の中の悪や穢れなどとは無縁そうな司祭を見るうち、この司祭を堕落させてやろうと幽鬼の中の悪魔が目を覚ました。
 美貌だとか肉体だとか、そんなものを使わなくても誘惑する術を幽鬼は知っている。
 相手の意識に入り込み…背徳的な快楽を与えて思いのままに操ればいい…。
「ああ…懺悔を」
 薄笑いを浮かべて司祭に手をかざしたときにはもう、幽鬼の意識は触手のように司祭の意識へ入り込み始めていた。
 その瞬間、司祭は小さく震え、目を見開いて後ずさりながら、幽鬼に向かって己の持つ十字架をかざした。
「わ、私に…私になにをする気だ…神を畏れぬ悪魔め!」
 幽鬼はまるで猫が獲物を追い詰めるように、じりじりと司祭に近づき笑みを浮かべたままで言った。
「見ての通り人間だ。悪魔ではないから神を畏れはせぬ」
「立ち去れ!立ち去れ、悪魔!」
 祈り、神に助けを求めるしか攻撃方法を知らない司祭は、あっという間に壁際へ追い詰められその額に幽鬼の冷たい手が触れた…。



 数か月が過ぎ、幽鬼は再びこの小さな村を訪れた。
 あの日、幽鬼を余所者と冷たい視線で見つめた老人たちは、その姿を見ると帽子を取って会釈した。
 幽鬼は満足げにうなずき教会へと足を踏み入れる。
 司祭はやはり神の子の足元にひざまずき祈りを捧げていた。
 わざとひとつ足を鳴らすと司祭は立ち上がって幽鬼を振り向く。
「…幽鬼さま」
 温和な笑みはあの日と同じだったが、その目の色は明らかに違っていた。
「順調に進んでいるようだな」
 コートのポケットに手を突っ込んだまま、幽鬼はきつい視線で尋ねた。
 孔明の狙いはこの村に眠っている鉱脈…まだだれも気づいてはいない。
 おおっぴらに機材を運び込み、エージェントたちを動員すれば小さな村のこと、すぐ国警に気取られてしまう。
 そのために、村人を洗脳し、BF団に協力的になるよう働きかけるため幽鬼がやってきた。
 信仰の厚い人間ならばこの教会に足を運び、洗脳した司祭が説教することでやがては村全体がBF団の支配下に置かれる…。
 司祭は先ほどのように幽鬼の足元にひざまずくと、目をとろんとさせ半開きの口を戦慄かせた。
「…褒美がほしいか」
 蔑んだような目で幽鬼がそう問えば、司祭は激しく首を縦に振る。
 司祭の額に手を触れさせ、脳を弄ってあの快楽を与えてやれば司祭は愉悦の表情を浮かべた。
 それを眺めながら幽鬼も歪んだ微笑みを見せる。
 教会の高窓から差し込んだ夕日が照らす幽鬼の、床に落ちた影には異形の翼があるように見えた。

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Author:まいりぃまいろ
ツイッターでフォロワーさんの描かれたウサヒツを見て書きました~。
レッドは絶対荒唐無稽な夢を見る。

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