GRで萌えてみる

「ジャイアントロボ」のBF団十傑集で妄想展開中。メインは成長したサニー(17歳設定)のラブストーリーとか10歳くらいの幽鬼のお話。拍手・コメント等いただけたら管理人喜びますw

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Last Dance

 予定の時間になっても扈三娘はまだ渋っている様子で、部屋から出てこようとしなかった。
 アルベルトは軽くノックをし、ドアの外から声をかける。
「そろそろ出かける時間だが…」
 BF団の本部でささやかなクリスマスのパーティを開くと聞かされたときから、扈三娘は戸惑っていた。
「あの、アルベルトさま…」
「なんだ」
「私は、今でこそ貴方のお傍におりますが、元はといえば敵対する組織にいた人間…その私がついていっても…」
 パーティが決められたときから何度も交わされた会話。
「気にすることはない。それよりも…樊瑞があいたがっている」
「え、兄者が…」
 扈三娘は一瞬顔を輝かせたが、それでもまだ考えあぐねているようだった。
「私のような…山猿…」
 樊瑞から聞かされた話では、もともと扈三娘は落ちぶれたとはいえ名家の出で、もしも山に入って樊瑞たちのような修行をしていなければ、今頃はそれなりに釣り合いのとれた男の妻になっていたはずだった。
 それが今、どういう運命の悪戯か、こうしてアルベルトと暮らしているのだが、彼女自身はメイドのように扱ってほしいと思っており、自分がアルベルトに釣り合う女ではないと考えているようで、自分のことを卑下して『山猿』に例えてみたりすることがアルベルトを苛つかせた。
「時間だ、出かけるぞ。私は樊瑞に連れていくと約束したのだ。どうでもきてもらわねばならん」
 戸惑い、渋っているとは言いながらもドアを開けると扈三娘はちゃんとパーティ用のドレスに着替えており、アルベルトは本当に嫌だったのではないとわかって、少しほっとした。
 しかし実際、本部へ連れてきてみると、樊瑞が唯一の心の拠り所なのだから仕方がないとは思いつつも、樊瑞とばかり談笑しているのが気に食わなかった。
「やあ、ずいぶんと不機嫌そうだね」
 壁に寄せられた椅子に座るアルベルトの隣に、グラスを持ったセルバンテスが腰かけた。
 すぐに逸らしたが、先ほどまでのアルベルトの視線の先を追ってセルバンテスは納得する。
「ああ、樊瑞としか打ち解けてないんだから、仕方ないだろ」
 アルベルトは返事をしない。
「プロポーズしたの?」
「…まあな」
「いい返事はもらえた?」
「…まだだ」
 旧知の仲のセルバンテスだからとアルベルトは再び視線を扈三娘へ戻す。
 セルバンテスは小さく笑い、アルベルトに身を寄せて言った。
「どうせ君のことだからストレートな求婚はしてないんだろう?いつまでもここに住めばいいとか、自分の近くにいろとか…そんなぼやかした言い方をしたんじゃないのかな」
「…う…そ、そんな、結婚してくれだの愛してるだのと言えるか」
「あっはっは、やっぱり君らしいな」
「だが」
 アルベルトは赤面しながらも真面目な表情になった。
「今夜なら、言えそうな気がする」



 皆が引き上げて、だれもいなくなった会場にアルベルトはひとり残っていた。
「お帰りにならないのですか」
 樊瑞に挨拶をしてきた扈三娘は、会場に足を踏み入れてそう声をかけた。
「セルバンテスが面白いものを見つけてきてな」
 アルベルトが指し示したほうには、ラッパ型のスピーカーがついたレトロな蓄音器が置かれていた。
「ずいぶんと時代物のようですわね」
「おまけもある」
 蓄音器には古い古いドーナツ盤のレコードが乗っている。
 使い方を聞かされていたアルベルトがレコードに針を落とすと、ラッパ管からノイズ混じりの音楽が流れてきた。
「ワルツ…かしら?」
「踊れるか?」
 扈三娘は顔を赤らめ首を振る。
 アルベルトは彼女の手を取り、そっとフロアの中央へ連れ出した。
「こうして…私に手を回して、ステップなどどうでもいいから、私にあわせて動いていればいい」
 何度かターンをしたあとで、扈三娘はささやくように言った。
「アルベルトさまは、なんでもおできになるのですね」
「なにもしていない」
「でも…」
 扈三娘の手を握るアルベルトの手に力が入った。
「愛の言葉ひとつ吐くことも、優しい言葉ひとつかけることも…好きな女に求婚することもできん…」
「アルベルトさま…」
「何度も何度も考えて…結局は陳腐な言葉しか浮かんでこず…私が本当に言いたいのは…特別なことではなくて」
 今日こそ正式なプロポーズをしようと思ったのに、アルベルトの頭の中にはまだためらう部分があったらしく、うまく言葉にすることができない。
 代わりに扈三娘が口を開いた。
「兄者に…あまり貴方を困らせてはいけないと…叱られましたの」
「む?」
「私はダンスを踊れませんけれど、貴方がダンスの相手に選んでくださったのなら…ずっとこうして貴方にあわせていてよろしいでしょうか」
「あ…」
 互いに謎解きのような言葉で、求婚の約束を交わす。
 扈三娘はこれが精いっぱいというように顔を真っ赤にしてうつむいてしまった。
「ずいぶん…長い曲ですのね…」
「ああ…長い…長い曲を踊るとしよう…」
 ときおり音が飛ぶそのレコード盤は、まだ曲の半分を終えたばかりだった。

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Author:まいりぃまいろ
ツイッターでフォロワーさんの描かれたウサヒツを見て書きました~。
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