GRで萌えてみる

「ジャイアントロボ」のBF団十傑集で妄想展開中。メインは成長したサニー(17歳設定)のラブストーリーとか10歳くらいの幽鬼のお話。拍手・コメント等いただけたら管理人喜びますw

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温室

 彼女はいつも通りの朝を迎え、いつも通りの仕事を終えて一息ついたところで、庭のあたりがやけににぎやかなことに気づいた。
 廊下の窓から眺めると、なにやら業者らしき人間が図面を片手に相談しあっている。
 彼女は表情も変えずに、事の真相を確かめるためにカワラザキの書斎へ向かった。
「ああ、離れを増築しようと思ってな」
「離れ、でございますか?」
「うむ、和室を二間と小さな温室をな」
 さっそく工事が始まったらしく、薄い窓を通して重機の音が響き、彼女は顔をしかめた。
「旦那さまのなさることですから反論は致しません。しかし和室とは…」
「そこに布団を敷いて幽鬼と寝る」
 この言葉にさすがの彼女も一瞬気色ばんだ。
「お言葉を返すようでございますが、幽鬼さまのお世話は私が引き受けております。幽鬼さまには幽鬼さまのお部屋がございますから旦那さまと一緒に寝られるというのは、幽鬼さまの自立の妨げになるのではないかと」
 カワラザキは眺めていた図面から目を離し、メガネを外して彼女を見た。
「お前はよくやってくれている。しかし、お前は幽鬼がどこで寝ているか知っているかな」
「いいえ。私は幽鬼さまがベッドで眠られたのを確認してからお部屋を離れております」
 カワラザキはひとつため息をつき手を組んだ。
「何度も言うようだが、幽鬼はワシらの想像もできんような劣悪な環境で育ってきた」
「はい」
「それゆえあの子は感受性が強く、悪夢にも悩まされておる」
 さすがにその悪夢というのが幽鬼の持つ能力故とは言えなかったが。
「真夜中…それこそお前も眠っているころにうなされて飛び起き、悪夢を恐れてクローゼットの中で眠ったりしている」
「しかし朝は」
「それはお前が起こしにくることを知っているから、それより先にベッドへ戻っているだけじゃ」
「そのようなことが…」
 自分の考えは間違ってはいない。
 だが自分の考えが及ばぬところで幽鬼が苦しんでいたかと思うと、彼女は口惜しそうに唇を噛んだ。


 離れが出来上がり、カワラザキが在宅の夜にその和室で布団を並べて眠るようになってから、確かに幽鬼は情緒も安定してきたし顔色もよくなってきたように見えてきた。
「幽鬼さま、おはようございます」
 和室というものに慣れない彼女が何度もノックをするせいで、障子にはいくつか穴が開いている。
 彼女の声と障子越しの陽光に起こされた幽鬼は、隣にカワラザキの姿がないことに気づいた。
「おはよう…じいさまは?」
「朝早くのお仕事があってお出かけになりました。幽鬼さまもご朝食の時間です」
 幽鬼は寝間着姿で障子を抜け、新しい穴があることに気づいた。
「またノックしたんだ」
「このお部屋へ入る際に、どう合図をさせていただけばよろしいかわからないので、つい癖で叩いてしまうのです」
 彼女はいつもと同じ表情ひとつ変えずにそう言うが、幽鬼にしてみれば完全主義者の彼女にも苦手なものがあるのだとわかって、少し楽しくなったりもした。
 離れから本宅へと向かう途中に温室がほぼ出来上がりかけている。
「あれは幽鬼さまの温室でございます」
「俺の?」
「はい。旦那さまが幽鬼さまのお好きなものを育てるようにと」
 幽鬼は信じられないといった顔で彼女を見、それから顔を紅潮させて傍から見てもわくわくしているのだとわかった。
「幽鬼さまは、なにをお育てになりますか?」
「ええと、花!それから…それから実のなる木も育ててみたい」
「悪くございませんね」
 彼女は頭の中で温室のレイアウトや構想を練っているであろう幽鬼を見ながら、幽鬼にとって外界はまだ厳しい場所であり、幽鬼はもうしばらく温室の中で育ててやらねばならない花のようなものだとカワラザキの言葉をかみしめていた。

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まいりぃまいろ

Author:まいりぃまいろ
ツイッターでフォロワーさんの描かれたウサヒツを見て書きました~。
レッドは絶対荒唐無稽な夢を見る。

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