GRで萌えてみる

「ジャイアントロボ」のBF団十傑集で妄想展開中。メインは成長したサニー(17歳設定)のラブストーリーとか10歳くらいの幽鬼のお話。拍手・コメント等いただけたら管理人喜びますw

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悲しき能力者

「これでは今日中に帰りつけそうもないな」
 幽鬼は車のハンドルを握りながら、そうつぶやいた。
 簡単な任務を済ませての帰り道、エージェントも必要ないだろうと自分で車を駆って赴いたまではよかったが、帰るころから怪しかった天気は、夜が更けるにつれて大粒の雨を降らせるようになっていた。
「まいったな…」
 ワイパーを激しく動かすが徐々に視界は悪くなっていく。
 町の近くの大きな幹線道路を走っているというのに、どの車ともすれ違わない。
 いよいよ前も見えなくなり、車を止めて雨をやり過ごそうかと思ったときだった。
「うわっ!」
 前方から眩いライトと激しいクラクションが近づき、幽鬼はとっさにハンドルを切っていた。
 なにも見えないなかで凄まじい衝撃を感じ、どこかへ乗り上げたらしいとわかった。
 ハンドルを握りしめたままで少し呼吸を整え、身体のどこにも異常がないことを確認する。
 ようやく顔を上げて正面を見たとき、先ほどまでの雨が嘘のようにやんでいることに気づいた。
「なんだ?」
 車を降りて空を仰げば満月まで浮かんでいる。
「どういうことだ?それにここは…」
 周囲を見渡して、自分が対向車をよけた際に墓地へ飛び込んだらしい。
「やれやれ」
 車にも異常はなさそうで、こんな場所からは一刻も早く退散しようとした。
 しかし…墓地の奥に人影が見えた。
 遠目でありながら、どこか見たような人影に幽鬼の背中を冷たいものが流れる。
「まさか…!」
 幽鬼はその人影に向かって走り出していた。
 墓地の奥には、ひとつだけ柵に囲まれた墓があり、人影はその前に佇んでいた。
「…扈三娘…あなたなのか?」
 幽鬼は墓石の銘を見る。
 何度も何度もなでられて磨り減った墓石には、扈三娘のものらしき名前がかろうじて読み取れた。
「俺をここに呼びつけたのも、あなたなのか」
 扈三娘は悲しげな目をすると片手を上げた。
「う、うわあっ!」
 再び強い光に包まれ、幽鬼の目が眩んだ。



 目を開けたとき、幽鬼はまた土砂降りの中に立っていた。
 だがそこは墓地ではなく、どこかの屋敷の前だった。
 土砂降りの闇の中を、布にくるんだ幼児を抱いてやってくるのはアルベルト…それを樊瑞が迎え出た。
 ここはカワラザキから何度か聞いた、アルベルトがサニーを樊瑞に預けにきた場面に違いない。
 そこへ扈三娘によって飛ばされたということは、自分に止めて欲しかったのではないかと幽鬼は考える。
「樊瑞…貴様にしか頼めんのだ」
「なぜワシに…セルバンテスやじいさまではいかんのか」
「じいさまにはあの小僧がいる。セルバンテスは…きっと娘を普通の子供のように育てようとするだろう」
 樊瑞に渡されたサニーは、まるで術にかかったかのようによく眠っている。
「しかし娘は儂と扈三娘の子、普通の子供のように生きることはできまい…国警にもいずれわかる」
「うむ」
「儂はいつ果てるとも知れぬ命、それゆえ貴様に育てて欲しい」
「待て、衝撃!」
 扈三娘の意思はそうではないと伝えたくて幽鬼は声を張り上げたが、ふたりに幽鬼の存在はわからないようだ。
「扈三娘はあんたに育てて欲しいのだ!たとえあんたが死んだとしても、サニーは強くなれる。だから…!」
 精一杯呼びかけるが、アルベルトは樊瑞にサニーを渡し、雨の中を帰っていってしまった。
 幽鬼はアルベルトと同じくらいに濡れながら空を仰いで叫ぶ。
「扈三娘、ダメだ…!もし、あなたがサニーのことを思うのなら、いっそあなたが生きて育てれば…!」
 雨雲に雷鳴が轟く。
 地面に落ちた雷光が、幽鬼から視力を奪った。

 幽鬼の目が回復したとき、周囲の光景はまた変わっていた。
 幼いサニーの眠る横で、扈三娘がベッドに横たわっている。
 しかしその顔は幽鬼が知らないやつれた顔だった。
「病気…なのか?」
 扈三娘の死の原因は病気であったと教えたいらしい。
「もしも刺客や事故だというなら、今の俺が止められるのに…!」
 幽鬼の前で時間は目まぐるしく進み、扈三娘は花が萎れ枯れていくように息を引き取った。
 周囲が暗転したと思った瞬間、幽鬼は元の墓地に立っていた。
「俺ができることは…ないじゃないか…」
 思わず涙が浮かんでくる。
 幽鬼でも運命を変えることは無理だと知ったのか、扈三娘の亡霊は姿を消していた。
「あなたは…あなたは俺のことを買いかぶりすぎだ。俺は…そんな能力者じゃ…ない…」
 墓石に崩折れてからの記憶はない。
 目を覚ましたのは朝になってからだった。
 車は墓地の外にちゃんと止めてあり、墓地の門も傷ひとつついていない。
「夢…だったのか?」
 夢だとしたら、なんと残酷な夢なのだろうと思う。
 幽鬼は車のエンジンをかけ、朝靄の中を走り出した。
 どこかで鳴っている鐘の音が、扈三娘の悲しみのように思えてきて逃げ出すようにアクセルを踏んだ。

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Author:まいりぃまいろ
ツイッターでフォロワーさんの描かれたウサヒツを見て書きました~。
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