GRで萌えてみる

「ジャイアントロボ」のBF団十傑集で妄想展開中。メインは成長したサニー(17歳設定)のラブストーリーとか10歳くらいの幽鬼のお話。拍手・コメント等いただけたら管理人喜びますw

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SAYONARA

 見渡す限りの荒野にぽつんと一軒のログハウスが建っている。
 幽鬼は少し離れたところで車を降り、エージェントをそこで待たせた。
 ときおり心地よい風が吹く、晴天の下をゆっくりとログハウスへ向かった。
 小洒落たノッカーを鳴らすと白髪の老女がドアを開けた。
 彼女は、かつてカワラザキの私邸でカワラザキに仕え、引き取られたばかりの幽鬼の世話もしていたメイドだった。
「ま…あ、幽鬼さま。幽鬼さまですのね?」
 幽鬼を見た瞬間彼女の顔に緊張が走ったが、すぐ温和な笑みを浮かべて幽鬼を招き入れた。
「カワラザキさまにお暇をいただいてから、もうどれくらいになるでしょう。立派になられましたね」
「見てくれだけはな」
 幽鬼は自嘲気味にそう笑い、そう広くもないログハウスの内部を見回した。
「独りで暮らしているのか」
「ええ、私は身寄りもございませんし…だからこそお屋敷にお勤めしていたのですが」
 間仕切りの奥がキッチンになっているようで、彼女はいったんそこへ消えヤカンを持って戻ってきた。
「お暇をいただいたときにカワラザキさまからは大変よくしていただいて…おかげでここに暮らしております」
「俺もじいさまもお前にはずいぶん世話になった。じいさまからもよろしく伝えてくれと」
「カワラザキさまもお元気で?」
「ああ」
 彼女は深々とうなずき、カモミールティーを淹れる。
「幽鬼さまがいらっしゃるなら、マフィンでも焼いておくのでしたわ」
 そこで思い出したように付け加えた。
「ああ、冷蔵庫に昨夜のキドニーパイが…いかがです?」
 本部に寝泊りしているときには普通にどこの国の食事でも摂れたが、屋敷へ帰ったときに彼女が作ってくれる家庭の料理は、幽鬼にとって好物でもあり不得手でもあった。
「いや、遠慮しよう。あれはどうも…」
「おや、まだ好き嫌いがおありなのですね」
 少し目を細める彼女が、幼いころのおっかなさに重なって幽鬼はまた苦笑した。
「お急ぎなのですか?」
 ふと彼女が尋ねる。
 幽鬼はかすかに首を振った。
「思い出話をするくらいの時間は…あるんだ」
 彼女は少し安心したように微笑んで、昔のメイドに戻ったように、やれ恋人はできたかとか生活はきちんと規則正しくしているかなどと質問して、幽鬼を閉口させた。



 周囲になにもない荒野は、日の落ちるのも早く感じられる。
 窓から入ってくる風が冷たくなったのを感じて、彼女はランプを灯し窓を閉めた。
 幽鬼は真剣な表情になると、ためらいがちにではあるがはっきりとした口調で言った。
「内偵で、お前の存在が国警に知られたようだとわかった」
 彼女は穏やかな表情で幽鬼をまっすぐに見つめうなずく。
「この日がくるのは…わかっておりました」
 エージェントでないとしても彼女はあまりにも深くカワラザキに、そして幽鬼に関わりすぎた。
 国警の手に落ちれば、なんでもない情報であってもそこから組織を探られる可能性がある。
 それゆえ…彼女に幽鬼が差し向けられたのだ。
「でも、ほかのどなたでもなく、幽鬼さまがきてくださって本当にうれしゅうございます」
 彼女はそう笑って、少し身支度をさせて欲しいと頼んだ。
 白髪をきちんとまとめ、薄く化粧をし、落ち着いた黒のドレスに着替えて再び現われる。
 そんな彼女に幽鬼は一錠の薬を差し出した。
「強力な睡眠剤だ。眠っているあいだに…すべて終わる」
 彼女はかすかに震える手で錠剤をつまみ、口に放り込んで飲み下した。
 それから隅に置かれたベッドへいき、横たわって手を胸の上に組んだ。
「そうだ、これを…」
 幽鬼はポケットから色褪せた本を取り出して、彼女の手に持たせてやった。
「お前がよく、俺のベッドで読み聞かせてくれた童謡の本だ」
「おや、持っていてくださったのですか」
 薬が効き始めたのか、彼女は本を愛しそうに抱きしめて目を閉じた。
「これは…カワラザキさまが幽鬼さまに読んでやれと買っていらっしゃった本で…お屋敷でおやすみのときには…何度も何度も、お読みしました…わね…」
 言葉が寝息に変わる。
 彼女の意識がなくなったのを確認してから、幽鬼は彼女の手首を取り上げ、太い動脈を小さくではあるが深く切り裂いた。
 本が血で汚れるのを避けるため、そっと下ろせばたちまちシーツは朱に染まった。
 ほかにも方法はあるが、彼女を蟲に食らわせるのはどうしてもいやだったから、苦痛もなく眠っているあいだに死ねる方法を選んだ。
 幽鬼はランプを消し、ログハウスのドアを慎重に閉めると待っていたエージェントに合図した。
 彼女の死を見届け、ログハウスごと彼女を消してしまう工作員だ。
 星が瞬き始めた荒野を、待たせてあった車のほうへ歩き出す。
 昔、彼女が聞かせてくれた童謡の一節が、不意に浮かんだ。

“もしも目覚める前に死ぬのなら 神さま、私の魂をお手元に”

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ツイッターでフォロワーさんの描かれたウサヒツを見て書きました~。
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