GRで萌えてみる

「ジャイアントロボ」のBF団十傑集で妄想展開中。メインは成長したサニー(17歳設定)のラブストーリーとか10歳くらいの幽鬼のお話。拍手・コメント等いただけたら管理人喜びますw

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ナスタチウム:愛国心

 ヒィッツカラルドの私室には少し似つかわしくないがグランドピアノが置かれている。
 サニーにはそのグランドピアノが憧れで、一度こっそりと部屋に入ってうっとりと眺めていたことがあった。
 ヒィッツカラルドはそれを許し、自分が留守のときには好きなだけ弾いていいという許可もくれた。
 しかし、サニーはヒィッツカラルドが任務のないときに、しかも興の乗ったときに聞かせてくれるピアノのほうが好きだった。
 この小さな観客があるときに、ヒィッツカラルドが弾く曲はサニーもよく知るものが多かったが、ヒィッツカラルドが本当に機嫌のよいときにだけ弾く曲があった。
 少し長いその曲は、重厚かつ荘厳で、サニーは時間の経つのも忘れて聞き入っていた。
「あの、ヒィッツカラルドさま、それはなんという曲なのでしょうか…私、よければその曲のディスクがほしいのです」
 少しはにかんで尋ねたサニーに、ヒィッツカラルドは少しの間をおいてから答える。
「この曲は…そうだな、私がいちばん好きな曲、かな」
 譜面も見ずに弾けるのだから、確かにヒィッツカラルドが好きな曲ではあるのだろう。
「もしかして…ヒィッツカラルドさまがお作りになった曲なのですか?」
 意外な言葉にヒィッツカラルドは一瞬呆気に取られたが、小さく笑うばかりだった。
「そうだな。もしも私がこの曲を作ったのなら…もっといい題名をつけるよ」
「あ…っ、す、すみません」
 別にあやまるようなことではないのだが、やたらと恐縮する少女に気をよくし、ヒィッツカラルドは明るい声で言った。
「今日は実に気分がいい。時間もあることだしお嬢ちゃんのリクエストにお応えしよう。なにを聞かせようか」
「でしたら…でしたら、私、もう一度先ほどの曲を…!とても素敵な曲なんですもの」
「よかろう。好きなだけ聞いてくれ」
 敵をも真っ二つにする恐ろしい指…その指が奏でる甘美な旋律に、サニーは目を閉じて酔っていた。



 ヒィッツカラルドがこの世を去ってから数年が過ぎた。
 あのグランドピアノは持ち主がなくなったということで燃やされてしまったらしい。
 サニーはそれを大変に惜しんだが、自分が貰い受けても自分の拙い指で鍵盤に触れるのは、ヒィッツカラルドとの思い出を台無しにしてしまいそうでいやだった。
 そしてあの、ヒィッツカラルドとサニーがいちばん好きだった曲の記憶も薄れ掛けたころ、サニーはあの曲が残月のひどくレトロな蓄音機から流れてくるのを知った。
 サニーはノックをするのすら忘れて残月の私室に飛び込む。
 驚いたのは残月のほうだった。
「サニー、いったいどうし…」
「残月さま、その曲は…その曲はいったい…」
 息を弾ませるサニーに、残月は蓄音機に乗ったレコードのことを話してやる。
「いきつけの古道具屋の主人が見つけた1枚なのだが…私はこの曲を知らない。サニーは知っているのか?」
 そこでサニーはヒィッツカラルドの弾いていた曲の話をした。
「ふむ…なるほど、素晴らしきが、な…しかしこの曲にはちゃんとした題名がある」
「ええ?」
「作曲者の名前はわからぬが…愛国心という題名らしいな」
 譜面を見なくてもいいくらいに覚えたのだから、ヒィッツカラルドがその題名を知らなかったはずはない。
 サニーがさらにその話もすると残月は少し考えてから言った。
「この組織に身を投じたあの男が、愛国心などというものを持ち合わせていたとは考えにくい。ましてやそのような言葉すら気に入らなかったのではないかな。それゆえ、自分で曲の名前を勝手に呼んでいた…そう考えるのが妥当な気がする」
 もしもこの曲をヒィッツカラルド自らが作曲していたら、なんという題名をつけていただろう…。
 サニーは残月に申し出た。
「その曲を…聞かせてくださいませんか?」
「容易いことだ」
 残月はいったん止めた蓄音機の針を、レコードの最初に落とした。
 曲は確かにあの曲、しかし演奏者の弾き方はどことなく頼りなく…。
「もう一度…あなたの指で聞きたかった…」
 今はもういない素晴らしい指の男を思い出して、サニーははらはらと涙を落とした。

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Author:まいりぃまいろ
ツイッターでフォロワーさんの描かれたウサヒツを見て書きました~。
レッドは絶対荒唐無稽な夢を見る。

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