GRで萌えてみる

「ジャイアントロボ」のBF団十傑集で妄想展開中。メインは成長したサニー(17歳設定)のラブストーリーとか10歳くらいの幽鬼のお話。拍手・コメント等いただけたら管理人喜びますw

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呪縛

 嵐の朝に幽鬼は生まれた。
 父という男はすでにおらず、母という女はだれにも知られず幽鬼を生んだ。
 生みたくて生んだのではなく、生まれてしまった子供だった。
 幽鬼が己の持つ能力に気づいたのはいつだったか。それがいつだとしてもそのときにはもう、憎悪の中で生きていた。
 女にとって幽鬼は疎ましく、薄気味悪い子供でしかなかった。
 女と女を訪ねてくる複数の男たちから向けられる憎悪の感情で、幼い幽鬼の心は壊れかけていた。
 それをなんとか保っていたのは虫やヤモリといった小動物の存在。
 感情らしい感情を持たない虫たちと意思を交わすのは無理だったが、虫たちは幽鬼の思考を読み取って思い通りに動いてくれた。
 人のもたらす憎悪が幽鬼の心の中で飽和の量を越えたとき…幽鬼は女を手にかけていた。
 返り血に染まった己の身体を拭おうともせず、女の肉体が腐敗し、虫たちに食い荒らされる様をただじっと見つめたまま日々を送った。
 やがて虫は幽鬼と一体化し、幽鬼は初めて人の感情から逃げ出すことができた。
 感情を持たない虫と同化することは、幽鬼にとって安らぎとなった。

 劣悪な環境のみすぼらしい住居に人が入ってきたのは、しばらくあとのことだった。
「この子供か」
 全身黒ずくめの男は顔をしかめながら幽鬼に手を伸ばしてくる。
 ようやく得た安息から引きずり出されると感じた幽鬼は、なんのためらいもなく虫に男を殺すように命じた。
 悲鳴を上げて男が倒れて間もなく、別の男が入ってきた。
「お腹が減ってはおらんかな」
 初老の男は幽鬼にそんな言葉をかけた。幽鬼はその男にも虫を差し向けようとして…動きを止めた。
 その男が持つ感情は憎悪でも恐怖でもなく、幽鬼の知らないものだった。
「だ…れ…」
 長年言葉を発しなかったため幽鬼は声と言葉を忘れていた。
「ワシはカワラザキという。お前を迎えにきたのだよ」
 どこへ?なんのために?
「おいで」
 差し出された手を拒もうとして…カワラザキの意思が流れ込んできた。
 それは幽鬼にとって恐怖であり、厳かであり、安息でもあった。

「わあああっ!」
 初めて触れる感情に恐怖し、幽鬼は逃げようとする。それをカワラザキは許さなかった。
「大丈夫。大丈夫だからおいで」
 大きく温かい手で幽鬼を捕らえ、引き寄せる…その心までも。
 頑なな心が融けるまでには時間がかかったが、幽鬼はやっと新しい感情…慈愛だとか賛美だとか…を理解するようになった。

「幽鬼くんが倒れたって?」
 いつものように午後のお茶に興じている3人の中で素っ頓狂な声を出したのはセルバンテスだった。
「昨日の訓練に無理があったのか」
 同じく樊瑞も心配そうな声を出す。アルベルトだけが平気な顔で煙を吐き出していた。
「エージェント、やがては十傑になるかもしれんのだ。今からそんな生っちょろいことでどうする」
 そのお茶会に参加していたカワラザキはティーカップを置いてため息をついた。
「たぶん知恵熱とかそのあたりの一種だろうとは思うんじゃが…」
「じゃあお見舞いにいかなきゃ」
 少し面白がってセルバンテスが立ち上がった。
 セルバンテスが訪ねてみると幽鬼は荒い息を吐きながらも、セルバンテスの気配で目を覚ましたところだった。
「あ、おじさん…」
「熱を出したんだって?じいさまに聞いたよ」
 そうしてセルバンテスは幽鬼の額に乗っていたタオルを取り替えてやった。
「泣いていたのかな?寂しかった?」
「俺、泣いてなんか…」
「涙のあとがあるよ」
 そう言われて幽鬼は確かに自分の頬が濡れているのに気づいた。
「…昔の夢、見てた」
「ここへくる前の夢?」
「…うん。じいさまとあう前の…」
 セルバンテスが涙を拭ってやる。
「昔の幽鬼くんは悲しかったんだ」
「…悲しくなんかなかった」
 ああ、とセルバンテスは思い出した。カワラザキから大体の経緯は聞かされている。
「無理しなくていいんだよ。ここにくる者はほとんどみんな、君と似て悲しい昔を持っている」
「悲しいなんて思わなかった」
「そうかもしれない…でも君がもっと大人になったとき、冷静になって昔を振り返ることができるよ。そうして過去と決別するんだよ」
 あの日のカワラザキと同じ温かい大きな手で幽鬼に触れる。
「大人になるまで忘れていたほうがいいこともある」
 体調を崩しているためか、幽鬼はあっけなくセルバンテスの術中に陥った。
…虫が友だちの少年は、カワラザキと一緒にBF団にやってきた。ビッグファイアのために十傑集を目指して訓練に励んでいる…。
「明日には下がっていそうだね」
 眠ってしまった幽鬼を見てセルバンテスが小さくつぶやく。
「幽鬼くんの呪縛を解くには…あと何度私の術にかかってもらわないといけないかな」

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ツイッターでフォロワーさんの描かれたウサヒツを見て書きました~。
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